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第53回 デジタライゼーションとは?(3)~デジタライゼーション成功のカギ

「デジタライゼーション」。日本語に訳せば「デジタル化」ですが、IT化とはそもそもデジタル化のことです。それが今になってなぜ強く言われるようになったのでしょうか。また実際にはどのようなもので、どう取り組んだらいいのでしょうか。
前々回から3回にわたって、これらを解説しています。
3回目の今回は、実際のデジタライゼーションへの取り組みについて解説します。



前回の振り返り

YMC電子工業(以下YMC)は、埼玉県にある従業員約280人のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業だ。同社の顧問ITコンサルタントである美咲いずみは、毎週月曜日のシステム部の部内会議に同席し、そのあと通常は山田昭CIOとのコンサルティング・セッションの時間を持っている。
今回いずみは、そのセッションの時間に部内勉強会の講師を依頼された。テーマは「デジタライゼーション」だ。講師といっても司会役に近く、勉強会は意見を出し合う形で進められている。
「なぜいまさら『デジタル化』なのか」という問いかけから始まり、デジタルトランスフォーメーション(DX)とデジタライゼーションの関係や、モバイルの浸透で強く言われるようになったことが参加者の共通理解になった。また実際にデジタライゼーションで「破壊」的なビジネスモデルを創造したデジタルディスラプターについての解説があった。

わずかなコストで生産性が1.6倍になり、1億4000万円の設備投資資金を節約

「1つ事例を紹介しましょう。2016年の事例ですが、今でも参考になる、すばらしい事例です」(「週刊東洋経済 2016年9月17日号」の記事を参考にまとめた)

愛知県の部品メーカー旭鉄鋼は、トヨタ自動車から「時間帯ごとの生産個数や、生産設備の停止時間と停止した理由を把握して、生産を効率化してほしい」との要請を受けた。最初は生産管理板に作業者が書き込むという「アナログ」な対応で解決しようとしたが、現場からやっていられないという悲鳴が上がった。

そこで自動化を検討したが、自動化のための機械はラインごとに必要で、1台500万円もした。それではコストがかかりすぎると同社の社長は考え、自社の持つ無線技術を活用して、機械を自作することにした。50万円で自作でき、生産設備の停止時間を1日あたり3時間削減できた。

しかし部品1個あたりの生産時間が把握できていないため、生産個数が増えない。今度は秋葉原の電気街で1個50円の光センサーと250円のリードスイッチを大量に購入して、生産時間を把握する仕組みを自作した。
これによって、1時間あたりの生産個数が1.6倍になり、生産増強のために予定していた2ライン分、1億4000万円の設備投資が不要になった。

さらに旭鉄鋼は、自作した一連の仕組みを外販することを決定し、そのためにiSmart Technologiesという子会社を設立したのだった。

「これは立派なデジタライゼーションの事例だと思います。YMCさんもそうだと思うのですが、工場にはたくさんのアナログ作業があります。それをデジタライゼーションで自動化すると、驚くべき効果が出ます。
しかも製造業は、いざとなったらデジタライゼーションのための仕組みを自作できるという強みがあります。YMCさんのような作る技術に特化している会社であれば、なおさらです」

「おお。何だかすごくやる気が出てきましたよ」と、不安そうだった真鍋課長の顔に笑みが戻ってきた。

重要なのは初期ステップ

「実際にはどのようなステップで進めていけばいいのでしょうか?」と宮下が質問した。

「大切なことは、現場で何が起こっているのかを知り、何が求められているのかを知ることです。そのためには業務をしっかりと把握することから始める必要があります」

デジタライゼーションの進め方についてはさまざまな考え方があるが、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」というデジタルトランスフォーメーションの基本概念に則せば、現場の人たちの喜びにつながる改革をするという「現場主義」的な考え方が求められるのではないだろうか。

「以下のステップで進めるのがよいと思います」といずみは言う。

1.把握
   現場の資産を把握し、必要なデータがどこにどのようにあるのかを把握する。
2.収集・蓄積
   実際に仕組みを作って、データを収集し、蓄積する。
3.可視化
   必要なデータを必要なタイミングでさまざまなデバイスから見えるようにする。
4.分析・最適化
   データを加工・分析し、得られた知見を現場にフィードバックして、新たな価値を生み出す。

「このステップのそれぞれで、IoTやAI、あるいはRPAなどが適用できないかを考えていくと、より高い効果が期待できる。

「この中で忘れがちなのが、最初の『把握』のステップです。旭鉄鋼のケースでは具体的に示されていませんでしたが、社長が機器を自作するというアイデアを出せたのは、社長自身が現場業務をしっかりと把握していたからに違いありません」

「私たちシステム部のデジタライゼーションへの取り組みは、まず現場をしっかりと把握することからとういうことですね?」と木村主任。

「ご明察です!さすがは木村さん」といずみ。
システム部の全員が自分たちのやるべきことを理解し、一体感が生まれた様子だ。
山田CIOはその様子を見て、いずみに勉強会の講師を依頼して良かったと感じていた。

まとめ

  • 低コストでもデジタライゼーションに取り組むことは可能
  • アナログ作業を見直して自動化することで、驚くべき効果が出る
  • デジタライゼーションは、把握 → 収集・蓄積 → 可視化 → 分析・最適化のステップで進めるとよい
  • 忘れがちだが重要なのは、最初に現場の「把握」をすること

いずみの目

Uberのような業界を創造的に破壊するデジタライゼーションもありますが、日本人の得意な「カイゼン」もデジタライゼーションで成し遂げることができます。ほかにも低コストで効果の高い取り組みがたくさんあります。

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

* この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
  日立システムズの公式見解を示すものではありません。
* 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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