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第7回 中小企業の海外進出に意外なメリットあり ~海外進出、知的財産権~

今後内需の大幅な拡大が見込めない今、中小企業の中にも積極的に海外販売に取り組む企業が増えています。そのような企業を調査したところ、外国と関わりを持つことで意外なメリットがあることが分かりました。そのメリットとは?


営業がうまくいきはじめたので大胆になっているんだ

「大木社長、すごいですね!あれから3か月で新規顧客を開拓できたなんて」亀田金太郎は絶賛した。

大木太一は、東京都A区にある社員20名の町工場、大木製作所の社長である。金太郎は、中小企業専門の経営コンサルタントである。横には、27歳のITコンサルタント美咲いずみが同席している。

金太郎が代表を務める亀田コンサルティングは、金太郎の父亀田尊大が開設した。尊大が隠居を決め込んだのに、尊大以来のクライアントが契約を継続し、その後も口コミなどでクライアントが増える一方。人手不足の解消をするなら同時に中小企業のIT化の支援に力を入れたいと考えた金太郎が、最近新たに雇ったのがいずみだ。

大木社長の隣に座っているのが、社長の長男で数年以内に事業を継ぐ予定の寛太である。今回から金太郎の月一度の定例訪問に同席することなった。肩書きは専務兼マーケティング部長。

大木親子は、金太郎の提案に従って、社長が短期的、専務が長期的な営業の取り組みをしている(第3回ご参照)。その成果がいま出始めているのだ。

「金太郎先生のおかげで強引な営業が苦手な僕も楽しくやれています。この前の無料セミナーもまだ5社にも満たないですが、ボチボチ人が来てくれるようになりました」と専務が言う。

社長が話題を変える。「まあ、おかげさんでね、営業に自信がついてきちゃってさあ、ちょっと大胆なことを考えてるんだよ」

海外展開はすばらしい決心

「ここは一つ海外でも販売してやろうと思ってるんだ」社長が続けて言う。

「それは素晴らしい。よく決心されました」金太郎が言う。

「そんなに素晴らしい決心かね?」社長が返す。

金太郎は、「2011年版中小企業白書」を開く。「まず、こちらをご覧ください(「中小企業白書」P289 第3-2-17図 各国・地域の名目GDPの推移)。1986年から2015年までのGDPの推移を示したグラフです。この間日本は2.5倍という予想なのですが、アメリカは3.2倍、ヨーロッパは3.9倍、ASEANは5.8倍、中国に至ってはなんと16.7倍という値になっています」

「ほう。するとやっぱりアジアがいいんですか?」と専務。

「そうですね。こちらに裏付けがあります(「中小企業白書」第3-2-18図 アジア新興国における世帯可処分所得別の家計人口)。世帯可処分所得5,000ドル以上35,000ドル未満の家計人口が急激に増えていることが分かるでしょう?この動きは2020年まで続くことが予測されています」

金太郎は出されたお茶でのどを潤して、続けた。

「その上の35,000ドル以上という層も着実に増えていくことが分かります。グラフでは目立ちませんが、私はこのほうが重要だと思っています。高級品が売れるようになるからです。日常品の価格競争力では日本はアジア諸国に勝てなくなるでしょう。でも、高級品を製造販売するということであれば、まだまだアドバンテージがあります」

輸出向きの業種は?

「どういう業種が輸出向きなんですか?」いずみが口を挟んだ。

「うん、それはね、こちらだ(「中小企業白書」第3-2-21図 業種別の輸出企業の割合(中小製造業))。製造業全体では2.4%だけど、加工組立型は4.7%と多く、基礎素材型は2.2%と平均的、生活関連型は1.0%と少ない。やっぱり日用品は辛く、付加価値のあるものが強いということですね」

「つまり、うちのような組立加工をやっている町工場にもチャンスがあるってことだね」

「そうです。ただ、いずれにしろアジア諸国ではまだまだ作るのが難しいものであればどの業種でもチャンスがあるし、そうでなければ辛いということです」と言いながら、金太郎は中小企業白書の別のページを開いた。

「山形県に佐藤繊維という会社があります(「中小企業白書」 P267 事例3-2-10)。こちらの企業の取引先は主に欧米ですが、独自の糸の開発で海外ブランドメーカーとの取引に成功しています」

「ほう。他には?」

「大阪に東研サーモテックという会社があります(「中小企業白書」 P267 事例3-2-12)。こちらは取引先の自動車部品メーカーがタイに工場を作ったのでタイに進出したのが海外展開のはじまりです。1986年にはマレーシアに進出し、それまで取引がなかった家電メーカーと取引できるようになりました。同社の川嵜社長は、『値段ではなく品質で勝負すれば事業機会は国外に数多くある。成功する秘訣はとにかく早く海外に進出することである』と言っています」

「その続きの『国内にとどまるだけでは、蓄積した技術を生かすことができず、宝の持ち腐れになってしまう』という言葉に背中を押されている気がするよ」

海外進出すると国内の取引先が増える?

「ところで、海外進出すると、意外なメリットがあるんです」金太郎が話題を変えた。「こちらを見てください(「中小企業白書」P282 外国と関わりを持つことによる中小企業への効果)」

社長は驚いた。外国と関わりを持つことで「日本国内での取引先が増えた」とする中小企業が32%もあったからだ。

金太郎が理由を説明する。「白書の282ページ以降を見てください。海外との取引は輸出だけではありません。貿易のノウハウができることで輸入も可能になり、原価を下げることができます。これで価格競争力がつき取引先が増えるのです」

全員がうなずく。金太郎は続ける。「次に外国人相手の対応力もつくので、海外から日本に来る外国人向けのサービス提供が可能になる。同じ理由(外国人対応力の向上)で、優秀な外国人人材の採用も容易になったり、外資系企業との取引も増えたりします」

まだある海外進出の意外な効果

国内での取引先が増える他に以下のような効果がある。


 ・費用削減につながった 30.0%
 ・国外市場の情報や海外ビジネスノウハウが蓄積された 21.4%
 ・国外で材・サービスを販売・提供可能になった 16.8%
 ・新製品開発につながった 16.4%
 ・企業の認知度・イメージが向上した 15.3%
 ・技術・品質水準が向上した 10.8%
 ・知的財産(特許・実用新案等)を獲得した 2.1%
 ・その他 2.6%

  (左の数字は「外国人人材が社内にいる」企業、右の数字はそうでない企業)


"特に効果はなかった"が14.4%なので、85.6%の会社が何らかの効果があったことになる。多くの会社が複数の効果があったと答えている。相乗効果があるようだ。

「割合は少ないけど、目を引くものがあるね」という社長の言葉に専務が反応した。「知的財産の件ですよね」

社長がうなずきながら続ける。「知的財産は、我々のような中小企業こそどんどん獲得していかないといけないと思ってるんだ。海外では勝手に商標を押さえてしまうという国際問題もある。国に解決してもらいたい面もあるが、ぼんやりしている日本企業にも問題はあるんじゃないかな」

「海外での知的財産権を安価に調べる方法はあるんでしょうか?」と専務。

「海外案件に強い弁理士さんなんかもいらっしゃると思うのですが、想像に過ぎませんがそれなりにいい報酬を取っているのではないでしょうか。少なくとも私は存じ上げません」

「実際に高いかどうかは自分で調べるけど、それこそITを使って安価に調べられないんですか?」

金太郎は答えに詰まった。いずみが手を挙げた。

「あのう。私がお答えしてもいいでしょうか? 実は、こういうソフトウェアがありまして…」

いずみはタブレット端末を持ち歩いている。こういうときにWebでさっと候補ソフトウェアを検索するためだ。

いずみのタブレット端末の画面を見ながら、この日の論議はさらに熱くなっていった。

まとめ

・海外進出は早ければ早いほどチャンスがある

・海外進出の以外なメリットは、それによって国内の取引先も増えること

・海外での知的財産の獲得にもっと積極的になるべき

いずみの目

今回は、出番がないかと思ってドキドキしちゃった美咲いずみです。
付加価値の高い製品を作っていくためには、知的財産を持っているということも大事ですよね。製造業であれば、やはり特許はほしいもの。そのためには、特許情報を素早く検索できることが必要です。
まずは国内の特許情報を、低コストで検索したいですよね。そういう意味ではグローバルに多くの特許出願をしている日立製作所の特許公報データセンタの情報を月額固定料金で使えるSRPATNERはいかがかしら?

もちろん海外の特許情報も検索できます。US(公開/登録)、EP・WO公報のほかに、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、中国の公報を蓄積。英単語の派生、語尾表記にも対応してるんですよ。

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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