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第8回 「新人研修なんて無理?中小企業もやっている!」 ~人材育成~

人材育成のためには教育が不可欠ですが、できるだけコストをかけずに充実させたいというのが中小企業経営者の本音だと思います。国も中小企業の人材育成に関していくつかの施策を実施しています。どのような施策があるのでしょうか?またeラーニングという選択肢もあります。これにはどのような特長があるのでしょうか?


新規採用はできても新たな悩みが

栃木県の従業員50人規模の卸売業・花村商会の花村喜多男社長。四年制大学の新卒採用が難しいと嘆いていたが、金太郎のアドバイス(第2回参照)で全従業員の約1割に相当する5名の新卒採用に成功した。

花村商会の顧問コンサルタント亀田金太郎は、そのことをメールで伝えられた。行きの新幹線の中で、同行した美咲いずみに「今日は花村社長、上機嫌に違いないぞ」と話しながら月1回の定例訪問にやってきたのだが、社長は浮かぬ顔だ。

「社長、どうしたんですか?」と金太郎。

社長は寝不足なのだろうか、青白い顔で答える。「5名の採用が決まったときは確かに嬉しかったんだけど、なにせ従業員が突然1割も増えるんだ。そう考えるといろいろと心配になってねえ」

どういう心配かと尋ねる金太郎に答えて、「一つは新人研修だよね。一斉研修をできる限りやりたいけど、教育コストはそれほどかけられない。聞けば大企業では新人一人あたり数百万円かけているそうじゃないか」

「新人教育のコスト面が心配だと」と金太郎。

「でしたら、いい方法がありますよ。eラーニングといって」といずみが切り出すと、金太郎が遮った。

「美咲さん、悪い癖が出たね。もう少し話を聞こう。社長続けてください」

「考えたら先輩社員たちにも今までそんなにきちっとした教育をしてこなかったんだ。これから人を増やしていくことを考えると、ここで教育体系なんかも考えないといけない。人事制度とも連携して見直さないといけないだろう。あれもこれもと思うと気ばかり急いてね」

「分かります。悩みが大きいと何から考えたらいいか分からなくなりますよね。ただ、こういうときこそ目の前のことから考えていくのがよいと思います。まず中小企業の教育研修に対する国の支援を調べてみましょう」

海外展開は中小企業の人材育成に関わる国の施策すばらしい決心

金太郎は「中小企業白書2011年版」を取り出すと、355ページ(「付録 平成23年度に講じようとする中小企業施策 第1章 中小企業を幅広く支援する 第5節 人材・雇用対策」)。

355ページを見ると、平成23年度の新規施策と平成22年度からの継続施策が書いてある。しかし、人材育成支援に関する新規施策は無かった。

「人材育成支援で継続するものは、次の二つですね」と言いながら、金太郎は会議室のホワイトボードに以下のように書き込んだ。


 1.実践型研修事業
 2.中小企業大学校における人材育成事業


続いて316ページ(「付録 平成22年度において講じた中小企業施策 第1章 中小企業を幅広く支援する 第5節 人材・雇用対策」)を開く。施策の説明はこちらに書いてある。

実践型研修事業

金太郎が続ける。「1の実践型研修事業は、国が主催する研修です。中核人材・即戦力とあるので、新人研修に利用できるかは分かりませんが、社員の能力の底上げには使えるかもしれません。詳細は『平成22年度 中小企業庁支援策のご案内』という冊子の5ページにあります」

金太郎は、項目名だけホワイトボードに列挙した。


 ・ものづくり
 ・農商工連携
 ・商業サービス業
 ・太陽光発電システム設置工事
 ・省エネ・バリアフリー改修工事
 ・観光・集客サービス業
 ・総合エネルギー販売業


「御社は卸売業なので、"商業サービス業"に活用できる講座がありそうですね」

"商業サービス業"の欄には、以下のような説明があった。


 起業に必要な知識やビジネスプランづくり、実践的な店舗実習を実施するなど、商店街における起業家を養成する研修を実施
 します。また、商店街内の個店の経営力向上を目指す商店主や従業員を対象に、具体的な販売促進、接客などの経営力の
 向上のための個店経営研修などを実施します。


社長が感想を述べる。「直接は関係無いかもしれないが、例えば"起業に必要な知識やビジネスプランづくり"などはうちの役員や管理職にも受けさせたいね。また取引先である個店のことを知っておくのも役に立つかもしれない。ただ、物流などに関するものがないのはちょっと寂しいなあ」

中小企業大学校

金太郎が続ける。「2の中小企業大学校は経営者・管理者向けです。2010年度の実績でのべ28,415名に966回の研修を実施とありますので、かなり利用されているようです」

続けて、金太郎は「平成22年度 中小企業庁支援策のご案内」の7ページを指し示した。


 階層別コース例

 経営者:人財の育て方と仕組みづくり、同族企業のための事業承継講座、事業継続計│ │画(BCP)のつくり方、
 マーケティング戦略とその実践、経営管理者研修 など

 中堅社員:問題解決力向上研修、リーダーシップと問題解決力、顧客の信頼を得る提│ │案営業の進め方、新規顧客開拓
 の進め方、工場管理者養成研修 など

 若手社員:「報・連・相」による社内活性化、新任管理者研修、決算書の見方と財務│ │分析の基礎、人事労務・実務研修、
 コミュニケーションスキル習得講座 など


「これを見ると若手向けもあるようですね。項目名からの想像ですが、内容も実践的だと思われます」

「ちなみに中小企業大学ってどこにあるんだね?」

「ここから一番近いのは仙台になるでしょうか。あとは東京ですね。その他全国に7か所あります(旭川、三条、瀬戸、関西、広島、直方、人吉)」

プライバシーマークやコンプライアンス教育について

社長が話題を変える。「先走りかもしれないが、これから会社を大きくしようと思ったら、プライバシーマークとかコンプライアンスの教育とかそういうことも必要なんだろう?」

「決して先走りではないと思います。私の友人に中小企業向けにISO取得と実践のコンサルタントをしている者がいます。彼のクライアントには従業員15名ほどの町工場もあるんですよ」

「ほう。どうしてそのような取り組みを?言い方は悪いが"小さな工場"じゃないか」

「大企業や自治体などから仕事をもらうのに有利だという面が一つ。実際、有名企業や自治体から直接受注しています」

「入札参加資格なんかにもISO9000取得とかってあるよな。他には?」

「それよりも業務フローを作ることによるメリットが大きいようです。これによって業務の無駄な部分が見えてきて、コストカットもでき生産性も向上します。ISOの場合、形式的だと社員の士気が下がることもありますが、友人のクライアントの会社では上がったそうです。一つ一つのタスクの意味が明確になるからでしょう」

「前向きに取り組めばいろいろとメリットがあるようだね」

「プライバシーマークもコンプライアンスも同様のことが言えるのではないでしょうか。大企業だけに必要なのではなく、前向きに取り組むことで経営上のメリットがあるはずなんです」金太郎は力説した。

eラーニングの特長と活用場面

「ところで美咲さん。プライバシーマークやコンプライアンスの教育などはITが使えるんじゃないかい?」

いずみの目が輝いた。「はい。さきほど言いかけたeラーニングを使うのが一般的になっています」

「何がいいんだい?」と社長。

「先ほど出てきたプライバシーマークやコンプライアンスなどの研修は、一定期間に受講してもらえばいいものです。ただし全員に受講してもらわないといけません。そこで未受講者への催促なども含めた受講管理が必要になります。手作業だと結構面倒なのですが、eラーニングなら簡単です」

「何回も講座を開くのも大変だし、業務上の都合で受けられないという社員もいるからな。全員受講が必須の研修には便利だね」と社長が感想を言う。

いずみが続ける。「受講だけでなく、習得したことを証明するためのテストも必要です。合格するまでに何度も受けてもらわなければなりません。たくさんの問題の中からランダムに出題することも求められます。同じテストでは答えを覚えてしまいますからね」

「それを紙でやるのは大変だなあ。導入するメリットが分かるよ。ただ、問題を作るのは難しいかもしれないなあ」

「教材もテスト問題も市販されています。SaaS(Software as a Service)型のものもあり、インターネットに接続できれば、かなり安価に受講もテストもできるようです。ただし、SaaS型では会社独自のコンテンツを追加できないケースもあるようです」

「どこの会社でも共通の部分をSaaSでやるだけでも、コストの節約にはなりそうだな」

「はい。まずはSaaSで始めて、独自のコンテンツなどが必要になれば、別の手段を考えるという会社は多いようです。新人教育の、例えば社会人として基礎的な知識などはSaaS型のeラーニングでも十分学べるのではないでしょうか」

「参考になったよ。では、eラーニングを使ってわが社(当社)で何ができそうか、一緒に検討してくれるかい」

「もちろんです!」金太郎といずみは同時に元気よく返事をした。

まとめ

・中小企業の人材育成に関わる国の施策には、実践型研修事業と中小企業大学校がある

・プライバシーマーク研修など全員の受講とテスト合格が前提の教育にはeラーニングが便利でコストも抑えられる

・その他の知識研修でも、eラーニングは検討すべき選択肢である

参考文献

いずみの目

今回も少し先走りしてしまいましたけど、コンサルの仕事に慣れてきた美咲いずみです。
なんでも講師を呼んで研修するとコスト高になるな、でも研修は充実したいなあと考える経営者の方は、一度eラーニングを検討してはいかがでしょうか?本文にもありましたけど、受講状況を管理したり、テストをしたりする必要があるのなら、ホントに便利なんです。
最近は資産にしなくていいSaaS型のものが出てきていて、それでいて意外とコンテンツも充実していますよ。

もちろん講師が必要な研修もあれば、OJT(On-the-Job Training)のほうが向く場合もあります。うまく使い分けて活用してくださいね。

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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