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第14回 緊急時に会社を守るために(3)~BCM(事業継続マネジメント)~

2011年に起きた東日本大震災をきっかけに、改めてBCP(事業継続計画)が注目されています。ある会社でしか作れない部品の供給が止まり、世界中で製品の生産がストップするという事態が発生したことも記憶に新しいのではないでしょうか。一方では、速やかに生産を再開させ、シェアを大きく拡大する会社もありました。サプライチェーンの中で中小企業が重要な役割を果たしていることも再認識されました。取り引きの条件としてBCPが明確になっていることを挙げる企業も増えており、中小企業においてBCPの有無は死活問題となりつつあります。前々回からBCPについて考えてきました。
今回は、その最後としてBCMについて考えます。



BCMとは?

「次はBCPの運用、すなわちBCMに関する取り決めです。これが最後の【様式】になります。」

愛知県の自動車部品製造会社、山本スプリング(仮名)の会議室。山本一郎社長(仮名)、中小企業専門の経営コンサルタント亀田金太郎、その“相棒”であるITコンサルタントの美咲いずみは、3人で同社のBCPを策定している。いよいよ最終段階に入ったことを金太郎が宣言したのである。
BCP策定のベースにしてきたのは、『中小企業BCP策定運用指針(第2版)』の入門コースの記入シートである。金太郎は持参のノートPCで、その6ページ目「【様式5】BCPの運用」をいま開いたところだ。

「作業に取りかかる前に、BCMについて簡単に説明しておきたいと思います」と言いながら、金太郎は『中小企業白書 2012』の66ページを開いた。「コラム2-1-12 中小企業のBCP策定支援ツール」と書いてあるページだ。その右下に「BCPサイクル」という図がある。全部で5つのプロセスがあり、それが円環状になっている。

「ここまでやってきたのが、『事業を理解する』『BCPの準備、事前対策を検討する』『BCPを策定する』という3つのプロセスです。『BCPの策定』はまだ途中でしたね。BCMは残りの2つのプロセス、すなわち『BCP文化を定着させる』と『BCPのテスト、維持・更新を行う』という部分になります。」

「運用指針の『【様式5】BCPの運用』が、その部分についての取り決めをするものだということだね?」と山本社長。

「おっしゃるとおりです。」

BCPの定着

3人はさっそく「【様式5】BCPの運用」の「6.BCPの定着」に取りかかった。

「まずBCPの定着か。『BCPの重要性や進捗状況等を社内に周知するため、定期的に従業員に対して、以下の教育を実施する』これを年に何回やるかということだね。年1回じゃ少ないな。半期に1回ぐらいはやりたいね」と山本社長。

「そうですね。『何をする?』という欄は『従業員に対して、BCPの進捗状況や問題点を説明する』のままでいいですか?」と金太郎が聞く。

「うん、それでいいよ。あ、そうか。だとしたら、毎月1回ぐらいの頻度でやる必要があるね。」

「私もそう思います。」

「では、『月1回』と書いておこうか。」

「空欄に何かほかの項目を追加しますか?」

「そうだね、『各部門でのBCPの周知』を『月1回』でどうだろう。それから避難訓練のような、本番時のテストのようなことも必要だろうね。」

「そうですね」金太郎がうなずく。

BCPの見直し

記入シートの6ページ下半分には「7.BCPの見直し」とあり、そこには次のように書かれている。
「BCPの実効性を確保するため、以下の基準に基づきBCPの見直しを行う。」

「『BCPを見直す基準』か。これはこのままでいいんじゃないか?」と言うのは山本社長。

記入シートにはあらかじめ例として以下のように書いてあり、内容がそれでよければそのまま使えるようになっている。


 ・日頃の顧客管理、在庫管理、仕入先管理の結果に大幅な変更があった場合、商品・サービスの変更・追加、生産ラインの組み替え、人事異動等があった場合は、BCPを見直す必要があるか検討を行い、その必要があれば即座にその変更をBCPに反映する。
 ・毎年1回以上、事前対策の進捗状況や問題点をチェックし、必要に応じてBCPを見直す。

「2番目の『毎年1回以上』というのが曖昧ではないでしょうか」といずみが言う。

「言われてみればそうだね。それに『事前対策の進捗状況や問題点』を従業員に説明するのを毎月1回にしたんだから、それと合わないね。よし、これも毎月1回だ。」

「いいですね!」金太郎も賛成する。

BCMの最も重要なポイント

「BCMといってもこれだけのことなんだね、ちょっと拍子抜けしたなあ。」

「決めるのはそう難しくないですが、やり続けるのが難しいんです。さらに言えば、形骸化しないようにするのがもっと難しい」と金太郎。

「形骸化か。月1回、たぶん『BCP事前対策進捗(しんちょく)会議』といったものを全部門長を集めてやることにしたわけだけど、最初はもの珍しいので興味を持っていても、そのうち『何も変わらないのに、今月もまた会議か』というようなことになる、そういう心配だね?」

「はい。おそらく進捗会議の時間は、よほどの見直しでもないかぎり、30分程度で終わるでしょう。そのときにいちばん大事なのは、社長自らが、BCPの重要性と、社員全員で取り組むことの大切さを情熱をもって語ることだと思うんです。」

「毎月、毎月、俺は本気だぞ、と伝え続けろということだね。」

「そうです。それがBCMの最も重要なポイントです。」金太郎の言葉にも力が入る。

他社との連携も視野に

「ところで、BCMなんだけど、何か足りない気がするんだ。」

「そうなんです。実は入門コースにはないんですが、基本コース以上にはこのような様式があります。」

金太郎は基本コース以上で使う記入シートを開いた。記入シートは基本・中級・上級の3コースで共通だが、どれが必須でどれが任意かという点で違いがある。これは『中小企業BCP策定運用指針(第2版)』に書かれている。

金太郎は、「【様式05】複数企業連携によるBCPの策定・運用体制」のページを開いた。

「うん、まさにこれだ。自分の会社だけで運用するのは結構つらいなあと思っていたんだよ。取引先や仲間の協力があるとないとでは、力強さが違うよね。」

「人・物・金の融通や情報交換という面もあるでしょうが、何よりも精神的に心強いですよね」といずみ。

「これは、いますぐ決められないので、期限と責任者を決めて事前課題に挙げておくということでいいかな?」山本社長もだんだん要領が分かってきたようだ。

「いいと思います。入門コースの範囲を超えていますが、必要な作業でしょう」と金太郎。

「基本コース以上の記入シートを見て、入門コースになかった観点を洗い出して、事前課題にしておくというのはどうだろう?」山本社長が金太郎の顔を見る。

「先を越されました!まさに私が提案しようと思っていたことです」金太郎はにっこりとして答えた。

BCP策定を通して

作業を始めたのが午後1時。いま時計の針はちょうど6時を指している。

「ふう、さすがに疲れたね。だけどBCPの策定が5時間で終わるとは思わなかったな。」

「社長が普段から経営について考えているからだと思います。」

「そう言ってもらえるとうれしいが、こんなことも明文化していなかったのかと思うと冷や汗が出るよ。パニックになってから考えるなんて、できっこないよね。」

「そこに気付いていただけただけでも、来たかいがありました。」

「気付いたと言えば、『中小企業白書』といい『中小企業BCP策定運用指針』といい、便利なものが無料で公開されているんだね。」

「はい。経済産業省だけでなく、ほかの省庁でもたくさんの文書を無料で公開していますね。」

「税金で作られているわけだね。だったら、使い倒さない手はないよなあ。」

「おっしゃるとおりです。記入シートみたいに、われわれコンサルタントが使うようなツールもたくさん公開されているので、私も助かっています。」

「経営コンサルタントにとっては、逆に仕事がなくなって困るんじゃないの?」

「そうなんです。いえ、それは冗談ですが、ツールがあるといっても、うまく使えるかどうかで利用価値が変わってきます。忙しい経営者の方が一人でやるのもなかなか大変です。第三者の目も必要ですしね。コンサルタントの活躍の場はいくらでもあると思っています。」

「自分のやる気の問題も大きいよね。今日みたいにコンサルタントの先生と会う時間を無理して作らないとできないことも多い。一人だと、行き詰まって投げ出したくなるかもしれない。」

「そうですね。特にやる気という面でご支援できれば、コンサルタント冥利(みょうり)に尽きます。」

「美咲さん、IT関係の事前課題がたくさんあったよね。ITは苦手ですぐにやる気がなくなってしまうんだ。これからもよろしくお願いしますね。」

今回はほとんど活躍の場がなかったいずみは、山本社長のひと言でやる気が湧いてくるのだった。

まとめ

・BCMとは、BCP文化を定着させ、BCPのテスト、維持・更新を行うこと

・BCMにおいては、社内での運用も大切だが、社外との連携も視野に入れるべきである

・国はたくさんの便利な資料を無料で公開しているので、これらを有効活用したい

いずみの目

BCPやリスク管理について何も知らず、少し落ち込んでいたんですが、最後の山本社長のひと言で救われた美咲いずみです。
IT関連のBCMはパッケージ化が進んでいて、各社からソリューションとして提供されているようです。ITが苦手な経営者には、ITのBCP、BCMと聞くとそれだけで途方に暮れてしまうと言う方もいらっしゃるようですが、専門家の協力を得て勉強するのもいいと思います。

防災ソリューション

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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