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第15回 強みに集中して“時間を買う”~海外進出とBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)~

中小企業の場合、海外進出について検討はしていても実際に踏み出せない企業が多いのが現状です。その主な理由は、海外進出に必要な人材が社内にいないと感じていることにあるようです。今回は、本当に人材の問題が海外進出を妨げているのか、どうすれば解決できるのかを考えてみます。



中小企業には人は来てくれない?

「やっぱり、中小企業には優秀な人材は来てくれないのかねえ…。」

東京都A区にある社員20名の町工場、大木製作所(仮名)の社長、大木太一(仮名)は、経営コンサルタント亀田金太郎の顔を見るなりため息をついた。社長の隣に座っている息子の大木寛太(仮名)専務も暗い顔だ。

「どうしたんですか?前回は企業理念ができた(第11回参照)と大喜びだったのに。」

金太郎は、ただならぬ様子に戸惑いながら言った。

「それがですね…。」

専務が、海外事業に精通した人材を募集したが誰も応募してこないことを明かした。

「金太郎先生が、栃木の方で採用に成功した企業があると言っていたんで、うちもなんとかなると思ったんだがなあ…」と社長。

「ああ、花村社長(仮名)の会社ですね(第2回参照)。あちらは新卒採用でしたから多少事情は違いますね。」

「せっかくいろいろと考えたのに、実行してくれる人がいないのでは難しいよねえ。」

社長が元気なく言う。

中小企業の海外進出はまだまだ少ない

「海外進出している中小企業はまだまだ少ないのが現実です。そう考えれば、そんなに落ち込むことはありませんよ」金太郎は全く心配していないといった顔つきだ。

金太郎は『中小企業白書 2012』を広げながら言う。

「まず輸出について見てみましょう。71ページの『第2-2-5図 輸出企業の数と割合の推移(中小製造業)』によれば、2009年には輸出をしている企業は製造業の2.8%しかありません。また、72ページの『第2-2-7図 従業者規模別の輸出企業の割合(中小製造業)』では、従業員20名という御社の従業者規模ではもう少し下がって2.5%です。」

「輸出もだけど、うちは現地法人を持ちたいと思っているよね。直接投資だとどうなるの?」と社長。

「76ページに『第2-2-11図 業種別の直接投資企業の割合(中小企業)』があります。これによれば、現地法人を持っている企業は、製造業では1.04%ですね。また75ページに書いていますが、全業種平均では0.32%だそうです。」

さらに、「第2-2-12図 従業者規模別の直接投資企業の割合(中小企業)」(77ページ)によれば、16~20人の規模では、製造業で0.63%、全業種平均で0.41%に過ぎない。

「そうか…、やっぱり無理なのかなあ。」

「お父さん、いや、社長、何を言ってるんですか。他社がやっていないからチャンスなんじゃないですか!」

専務はやる気を失っていたのではなく、どうやら元気のない社長を心配していたようだ。

海外進出の障壁

「そうだな、専務の言うとおりだ。」

「やっといつもらしくなってきましたね」金太郎に同行しているITコンサルタントの美咲いずみがうれしそうに言う。

「ところで金太郎先生、多くの中小企業が感じている海外進出の障壁とは何だろうか。」

「そうですね、ここからは直接投資に限って話をしていきましょう。84ページに『第2-2-15図 直接投資を開始するために必要な条件(複数回答)』があります。これによると、74.6%の企業が『企業に資金的な余裕があること』を挙げています。逆に言えば、多くの企業は資金的な余裕がなくて海外進出できないということですね。」

同図では、以下「進出先の法制度や商慣習の知識があること」(60.3%)、「販売先を確保していること」(54.7%)、「信頼できるパートナーがいること」(53.9%)、「進出先の市場動向についての知識があること」(44.8%)、「黒字化の見通しが立っていること」(33.7%)、「海外直接投資に詳しい人材を社内に確保していること」(32.8%)、「海外仕様の商品があること」(13.0%)などが続いている。

「意外に財務的な項目は少ないんですね」と専務が言うと、社長も「パートナーとか人材とか販売先とか、人の話のほうが目につくね」と言う。

「まあ、最も多いのが『資金的な余裕』ですから、項目の数は少なくても財務的な障壁はインパクトが強いということですね。ただ、人の問題で挫折しているケースが多そうな気は確かにしますね」と金太郎。

人の問題は本当に障壁なのか

「あの、人の問題って本当に障壁なんでしょうしょうか」といずみ。

金太郎は軽くうなずいて「美咲さん、ちょっと待ってね」と言ってから社長と専務に向き直り「人材が足りないときにはどういう解決策がありますか?」と聞いた。

「まずは、人を雇うことかな。派遣も含めて」と社長。

「時間はかかるけど、育てるという手もありますね」と言うのは専務。

「他にありませんか?」と金太郎に言われ、たっぷり30秒間考えてから、専務が「そうだ、アウトソーシングという方法がありますね」と言った。

美咲がうなずいたのを見て「美咲さんが言いたかったこともそれかな?」と金太郎。

「自社の人間にこだわる必要はないというわけだね?」と言いながら、社長はまだ何かを言いたい様子だ。

金太郎は構わず「そうなんです。専門知識を持った会社はたくさんあるので、そちらに業務委託するのもいい方法なんです。業務をアウトソーシングすることをBPO(Business Process Outsourcing)といいます。中小企業ではBPOを積極的に活用するほうが早いと思います。」

“時間を買う”ことが目的

「しかし、それでは社内にノウハウがたまらないんじゃないかな」と社長が言う。

金太郎は続ける。「私も『海外直接投資に詳しい人材を社内に確保していること』は長い目で見れば必要だと思います。しかし、転職市場にこういう人材はなかなかいません。人材を確保できないのは、中小企業だからというよりは、出会う機会が極端に少ないからだと思います。であれば、社内で育成しなければなりませんよね。でも…。」

「それだと何年もかかってしまう、ということですね?」と専務が引き取る。

「そうなんです。それに社内で育てるといっても、実際に海外進出しなければ育てることもできません。」

「そりゃそうだなあ」と社長。

「それに、海外直接投資に詳しい人材が社内にいたら確かに心強いでしょうが、その人材は御社の強みと直接関係ありますか?」

「それは、ないだろうね。」

「とすると、縁起の悪い話で恐縮ですが、万が一海外直接投資に失敗した場合、その人材はどうなりますか?」

「うーん、正直言って必要はなくなるね。まあ、能力を持っているんだから転職は簡単だろうけど、俺は人を切るのはあまり好きじゃないしなあ。」

「そうですよね。海外直接投資に詳しい人材の確保は、例えば海外事業部のようなものが必要になってからでも遅くはありません。ですから、最初は“時間を買う”つもりでBPOを検討することは有力な選択肢だと思うんです。」

「確かにメリットが大きそうですね」と専務。

「そうなると次にやることは、あれだな?」と言う社長の顔は明るかった。

専務がすかさず「アウトソーシングする分野の検討と、選択基準の検討。」

「さすがです!」金太郎のいつもの決めぜりふである。

まとめ

・海外進出している企業の割合は中小企業ではまだまだ少ないからこそチャンスである

・人材不足に対してはBPOという選択肢もある

いずみの目

コンサルタントにとって大事なことは、自分で答えを示すより、クライアントに考えてもらうようにすることだと、改めて思った美咲いずみです。
海外で商品を販売する日本企業は、価格競争ではなかなか勝てません。日本製品が評価されているのは、製品が壊れにくい、故障してもきちんとサポートしてくれるという理由のようです。つまり顧客対応力に強みがあるということですね。そうなると、お客さま窓口がしっかりしていることが重要になってきますが、中小企業が自前で顧客対応窓口(コンタクトセンター)を持つのは難しいと思います。で、やはりあるんですね、コンタクトセンターのBPOサービスが。しかも、海外にも強いというものがあるんです。 

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[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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