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第18回 クラウドサービスへの“誤解”~クラウド活用~

経済産業省の『平成22年情報処理実態調査結果報告書』によると、事業規模が大きい企業ほどクラウドサービスの利用率が高く、中小企業では大企業に比べてクラウドサービスの利用があまり進んでいないことが分かります。中小企業こそITのコストを抑えられるクラウドサービスを活用しているかと思えば、逆の結果になっています。その理由には、クラウドサービスに対する“誤解”があるのではないかと思われます。



クラウドは怖い?

「うちの会社、おかげさまで社員が増えて事業も拡大してきたのはいいけれど、それにつれて業務量も増えてきてね、本格的にIT化しようと思っているんだ。しかし、専門家はいないし、どう進めたらいいか、正直なところ分からないんだよ」栃木県にある卸売業、花村商会(仮名)社長の花村喜多男(仮名)が切り出した。(第2回第8回で花村商会は、経営コンサルタント亀田金太郎のアドバイスで5名の新卒採用と5名の中途採用に成功し、社員数をそれまでの50名から60名に増やしている。)

「クラウドサービスの活用は検討されたんでしょうか?」金太郎の助手、ITコンサルタントの美咲いずみが質問した。いずみが花村商会を訪問するのは2回目である。

「それがね…。」

花村社長は、地元の商工会議所の活動を通じて親しくしているある会社の社長から、クラウドサービスに預けていた会社のデータが消えてしまうトラブルに遭遇した話を聞かされたという。

「それを聞いて、クラウドはどうも怖くてね。」

クラウドの活用状況

「クラウドは大きな企業ほど普及していますね」金太郎は経済産業省が発表した『平成23年度情報処理実態調査結果報告書』をかばんから出した。

「平成22年度のデータですが、クラウドを活用している企業の割合は企業規模が大きいほど高くなっています。」

データによると、年商10億円超20億円以下の企業では7.9%、20億円超100億円以下の企業では12.1%、100億円超1,000億円以下の企業では18.5%というクラウドの利用率である。

「前年度と比べると伸びているようですが、中小企業でのクラウド活用はまだこれからのようですね」と金太郎。

中小企業はクラウドをどう捉えているのか

「なるほど、クラウドの活用状況はわかったけど、実際に中小企業ではクラウドをどう思っているかを調査した資料はあるんだろうか」と社長。

「中小企業のオーナーやIT担当者に直接、聞いてまとめたものは見当たらなかったんですが、中小企業のIT化を進めているITコーディネーターを対象にしたアンケート調査の結果をまとめた資料があります」金太郎はそう言っていずみの顔を見た。

いずみは金太郎にうなずいてみせ、タブレット端末でPDFファイルを開いた。

「花村社長のご質問にお答えしますと…」

いずみが開いたのは『ITコーディネータが見た中小企業等におけるクラウドサービス利用上の課題・導入実態調査報告書』という資料だ。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2012年1月~2月にかけて実施したアンケート調査(898人から回答)をまとめたものだ。いずみが花村社長にその資料を示して説明する。

まず、「クラウドサービス導入のねらい」の上位6項目(平成23年度)は以下のようになっている。


 ・1位 導入費用を低減できる(74.2%)
 ・2位 運用・保守費用を低減できる(69.7%)
 ・3位 サービス提供開始時間を短縮できる(56.2%)
 ・4位 運用要員を削減できる(56.0%)
 ・5位 不要の際に即座に利用を停止できる(33.2%)
 ・6位 試験的な導入が容易(33.1%)

これは、中小企業がクラウドに何を期待しているかを示すものと考えることができる。

では、クラウド導入をためらう理由は何だろうか?
「クラウド導入時の課題・不安」の上位5項目(平成23年度)は以下のようになっている。


 ・1位 自社の情報を他社に預けることに不安がある(62.6%)
 ・2位 業務の細部があわず柔軟なカスタマイズができそうにない(49.2%)
 ・3位 内部システムとのシステム間連携に不安がある(40.6%)
 ・4位 サービス解約後に個人データなどが残存する(40.4%)
 ・5位 サービス事業者が事業停止や倒産に至るかもしれない(36.9%)
 ・6位 他のサービス事業者への乗換えが難しそう(34.0%)

「コスト削減とサービスインの時間短縮、やめたいときにやめられるというクラウドの利点について理解は得られているようですが、セキュリティやサービスの継続性などに不安があるために導入が進んでいないのではないでしょうか」といずみはまとめた。

自社で管理するほうが怖い

「もっともな話だと思うね」と社長。「私の友人の社長も、データがそれこそ『雲』のように消えてしまった時には復旧に半月ぐらいかかったと言っていた。やはり大事なデータを社外に預けるのは不安だよ。」

「反論というわけではないのですが、実際にクラウドを導入している企業はそれと反対のことを言うんです」といずみが言う。

「この事例を見てください。」

いずみは、タブレット端末でWebブラウザーを開き、ブックマーク(お気に入り)をクリックした。画面に表示されたのは、日立システムズのWebサイトで紹介されている「中小企業向けクラウドサービス「Dougubako」」の導入事例だ。「導入前の課題」という部分に、「顧客情報や売上情報などの重要なデータを守るため、自社ではなく安全な場所で保管したいと考えていた」と書かれている。

金太郎も言う。「実際、『クラウドにデータを預けると、何かあったときに全部なくなってしまうと考えていたが、考えてみると、自社に置いていてもその不安が解消されるわけじゃなく、かえってクラウドのほうが安心』という人が多いんですよ。例えば、日々データをバックアップしていても、そのバックアップが役に立つかどうかは、データが壊れてみないと分からないですよね?」

「うーん、確かに、実績のある業者なら自分の会社より安心かもしれないね」と社長も思い直し始めているようだ。

「データの安全性だけでなく、ネットワークのセキュリティなども業者に任せたほうが楽だし安全だ、というのがクラウドユーザーの意見のようです」と金太郎。

「そうだね。自社でネットワークのセキュリティ方針からきちんと考えるとなると、かなり手間だし、自信もない。そのような人材を雇ったり育成したりするのもお金や手間がかかる。そのうえ、自社の強みとはあまり関係ないしね。」

業務システムを自前で持つかどうかの判断基準

「データの安全性やネットワークセキュリティについては分かった。でも、この2つはどうなのかな?」

花村社長がまだ不安に思うのは、「業務の細部があわず柔軟なカスタマイズができそうにない」と「内部システムとのシステム間連携に不安がある」の2点だという。

いずみが答える。「業務の流れに自社の強みがあると判断される場合は、クラウドやパッケージソフトをカスタマイズして利用するのではなく、自前でシステムを作るほうがいいかもしれませんね。自前のシステムでしたら、他のシステムとデータ連携させやすいですからね。」

「そうやってうまく自社の強みを生かしている会社は多いと私も思います。なので、あくまでわが事務所の見解ではありますが、クライアントには今のような提案をするようにしています」と金太郎はいずみの説明を補足した。

「なるほど、検討に値するね。自社の強みと関係のない業務は積極的に外に出して、コアコンピタンス(他社が真似できない強み)に集中すべきだということだね。」

「はい、その通りです」金太郎の提案は理解されたようだ。

いずみが続ける。「リアルタイムのデータ連携が必要でクラウドに向かないという業務はそれほどありません。まずはクラウドを活用できる業務を洗い出して、どうしてもクラウドでは無理という業務はあきらめる、という考え方でいいと思います。それを検討せずに全部をあきらめている会社が多いのではないでしょうか。」

うんうん、とうなずいて聞いていた社長、「それはよく分かる。よく知らずに恐れているよりも、やる方向でまず検討することが大事だよね。ということで、今日はクラウド活用の検討に付き合ってくれるよね?」

「もちろんです!」。金太郎といずみが声をそろえた。

まとめ

・中小企業は、クラウドに対してコスト削減、サービスインまでの時間短縮、やめたいときにやめられる利便性などに期待しているが、その半面、セキュリティ、データ保全、サービスの継続性などに不安を持っている

・中小企業の持っている不安は、信頼できる業者を選定することで、逆に安心につながる

・よく知らないで恐れているより、やる方向で検討してみることが大事

いずみの目

人は、よく分からないものに対しては不安になりがちです。しかし、クラウドのような便利なサービスをいたずらに避けていては、得られるはずの恩恵を逃してしまうことになります。便利さに目を向けて、自社ではどう使えるかを前向きに検討するほうが、よい結果をもたらすのではないかと思います。

中小企業向けクラウドサービス

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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