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TOPコラムおたすけコンサルタント亀田金太郎が行く > 第19回 海外進出、はじめの一歩(4)~海外進出、クラウド活用~

第19回 海外進出、はじめの一歩(4)~海外進出、クラウド活用~

第15回で、海外進出で業務開始までの時間を短縮するためにはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が有効だとお話ししました。同じ目的で、最近はクラウドサービスを利用する企業も増えています。今回は、どのような場合にクラウドで時間短縮ができるのかを見ていきましょう。

* この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません(一部引用を除く)



『中小企業白書』に載っていないこと

東京都A区にある社員20名の町工場、大木製作所は、経営コンサルタント亀田金太郎とその助手、ITコンサルタント美咲いずみのサポートを受け、インドネシア進出の準備を進めている。今日は話題がITということもあり、社長の大木太一は息子である専務の寛太に任せて外出している。

「海外展開をする企業は、ITはどうしているんでしょうか」専務が切り出した。「『中小企業白書 2012』を見たんですが、海外進出とITについての話が載っていないんですよ。」

「そうですね。海外進出は、IT以前に大変なことが山積みだからでしょう。それに、こんな事情もありそうですね。例えば『中小企業白書 2012』89ページの「事例2-2-8 インドに進出し、携帯電話・スマートフォン向けのコンテンツ配信事業を行う企業」には、『インフラ整備の遅れから、データ通信、コンテンツ配信は発展途上の段階にあり』と書かれています。IT大国と言われるインドでもこうですから、あとは推して知るべしではないでしょうか。」と金太郎。

『中小企業白書 2012』の104ページに「第2-2-36図 現地法人が直面している事業環境面の課題・リスク」がある。現地に販売拠点を持つ企業の15.4%、生産拠点を持つ企業の11.0%が、課題・リスクとして「現地における物流や産業インフラの未整備」を挙げている。「産業インフラ」の中にはITも含まれているはずである。
次の105ページには、「ベトナムやインドネシアは、物流や産業インフラにおける課題が比較的高くなっている」と書かれている。インドネシアに進出しようとしている大木製作所にとってひと事ではない。

日本の大企業の進出先ではBPOは有力

「インドネシアでも、ITはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)がいいんでしょうか?」と寛太専務が聞く。

ここはITコンサルタントである美咲いずみの出番だ。

「はい。BPOも有力な選択肢で、しっかり検討すべきだと思います。例えば、自動車メーカーはグローバルに事業を展開しています。そうなると部品製造会社も一緒に進出することになり、結果としてインフラの整備や、アウトソーシング先として有力なIT企業の進出も進みます。そのような国ではBPOは有力な候補と考えていいのではないでしょうか。」

「そうですね。でも、ほかの選択肢もあります。」

クラウド活用はシステム運用のBPO

「BPO以外にですか?それは何でしょう。」専務が尋ねる。

「クラウドです。クラウドも有力な選択肢になります。」

「クラウドですか。セキュリティなどは大丈夫なんですか?」

「そういうクラウドへの不安はよく聞きますね。でも、それは“誤解”と言ってもいいと思います。信頼できる事業者が提供しているサービスのほうが、自前で用意するより安全だという声も多いんです。」

いずみは先日の花村商会での説明を繰り返した(第18回参照)。

「なるほど。確かに、自社でバックアップを取っていても、いざというときにそれを使って本当に元どおりにできるかは、実際に障害が起きてみないと分かりませんね。そう言われると、信頼できる事業者のクラウドサービスのほうが安心という意見も分かります。」と専務がうなずく。

「そういう事業者はIT運用の経験が豊富なので、クラウドを活用することはシステム運用を便利に安くBPOしているのと同じなんです。」と金太郎が付け加えた。

きめ細かさを取るか、時間を取るか

「ただ、クラウドの場合、カスタマイズなどのきめ細かいサービスは難しいんじゃないですか?」と専務。

「そうですね。ですから、自社の強みにつながるコア業務については、自前で開発するほうがいい場合もあるんですね。」いずみは花村商会でも同じように答えていた(第18回参照)。

「そうですか。サポートは期待できないんですね?」と寛太専務。

「どういうサポートを期待するかによります。先日、あるセミナーで中堅の製造業がベトナムに進出したときの話を聞いたんです。私、なるほどと思ったんです。」といずみ。

「ぜひ聞かせてください。」

「その会社では、進出先のベトナムの現地法人にERP(統合基幹業務システム)パッケージを導入することにしました。そして、そのERPパッケージのサポートを正式に表明しているクラウドサービスを導入することにしたんです。」

クラウドを導入した理由が“目からウロコ”だったといずみは言う。通常、ERPパッケージを自社のサーバーに導入する場合、データ量などを詳細に見積もってサーバーのスペックを細かく決定する必要がある。しかし、これから海外で事業展開しようという段階で正確な見積もりは難しいし、場合によっては撤退もあり得る。時間をかけてシミュレーションすれば、かなり正確な予測が可能かもしれないが、海外事業の開始日は決まっていて、とてもそんな時間はなかった。そこでその会社は、拡張も縮小も柔軟にできるクラウドサービスにしたのだという。

「シミュレーションに時間をかけるよりも、とにかく稼働させて、実績を出してからのほうが予測も正確になります。その時点で、クラウド活用を継続するのか、自社運用にするのかを検討し直せばいいわけです。」

自社システムとクラウドの使い分け

「それは興味深い話ですね。最近の事業にはそういう側面があるんですよ。うちが海外進出を決めたときも、完璧なシナリオを描いてから進出するのでは遅すぎると考えたんです。それよりも、とにかく進出して、実績を見ながら試行錯誤するほうがいい。何もしないほうがリスクが大きいという考え方と、クラウドは相性がいいのかもしれませんね。」専務も納得した様子だ。

黙って聞いていた金太郎がおもむろに口を開く。「最近『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(入山章栄著、英治出版刊)という本を読んだのですが、その中におもしろい話がありました。今のような不確実の時代には、精緻な事業計画を立てるより、先に行動することで学習し、戦略を練り直していくほうが効果的だ、また、そのほうがチャンスも大きくなる、というんです。」

「となると、企業戦略を支えるITも、精緻な計画に基づいて作るよりも、トライ・アンド・エラーで考えるべきだということになりますね。」と専務。

金太郎が答える。「使い分けだと思うんですよ。すでに軌道に乗っている事業であれば、ある程度精緻な計画が立てられるので、それに基づいて最適なITを整備することも可能でしょう。しかし、先が読めない事業では、なるべく早く行動する必要があります。となると、ITの計画に時間をかけるよりは、すぐに使えるIT、つまりクラウドなどを利用するほうがいいということになりますね。」

「基幹業務は自社システム、ほかの業務はクラウドといった使い分けになるのかなと思っていたんですが、それだけではなくてスピード感の違いもあるんですね。」

「ITを資産と考えることも重要ですが、意思決定のスピードとITの関連も重要だということなんです。」と金太郎がまとめた。

「ITの方向性が見えてきた気がします。まずは業務を洗い出して、当面は手作業でもいいもの、BPOで解決できそうなもの、クラウドで解決できそうなものに分類することから始めようと思います。」

「さすがです!」いずみが金太郎を見ながら、すかさず答えた。専務も金太郎も嬉しそうにいずみを見るのだった。

まとめ

・海外進出時のITに関して、BPOは有力な選択肢だが、クラウドも同じく有力である

・不確実な要素が多く精緻な計画に時間がかかる場合は、まずクラウドを利用して事業を開始し、得られた結果に基づいて戦略を練り直すのも有効な手段である

いずみの目

不確実性が高い場合は、精緻な計画を立てるよりも、先に行動して学習することが大事だというのは勉強になりました。ただし、何が不確実なのかは先に洗い出しておくことが必要です。
すぐに行動したいと考える会社には、リソースのオンデマンドサービスがお勧めです。

リソースオンデマンドサービス in Thailand「Caliver Resource on Demand」

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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