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第20回 営業担当者を雇えないのなら~営業アウトソーシング~

営業をアウトソーシングしたいという会社が増えているようです。しかし、営業のすべてを“丸投げ”することは得策ではありません。今回は、営業をアウトソーシングする際の勘所について見ていきましょう。

* この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません(一部引用を除く)


「販売という難行苦行に耐えなければならない」

経営コンサルタントの亀田金太郎と、アシスタントのITコンサルタント美咲いずみは、東京都K区の高田印刷所(仮名。第1回参照)を訪問している。金太郎は、以前にK区の法人会が主催した中小企業経営者のための無料相談会で社長の高田純一(仮名)と出会い、それ以来、高田印刷所は金太郎のクライアントになっていた。

応接室で、出されたお茶を飲みながら2人が待っていると、高田社長が難しい顔をしながら入ってきた。

「社長、どうされました?あまり元気がないようですが」金太郎が心配顔で尋ねた。

「金太郎先生に薦められて『一倉定の経営心得』(日本経営合理化協会出版局刊)を読んだんだけど、ショックを受けたことがあってね。」

『一倉定の経営心得』は、経営コンサルタント一倉定(いちくらさだむ)が、中小企業の経営者のために書いた何冊かの本から、特に“名言”とされる言葉を抜き出して解説とともにまとめた本である。厳しいことが多く書かれているが、金太郎は本質をよく捉えていると思い、自社のクライアントに読むことを薦めている。金太郎が持っている同書は赤線や書き込みだらけである。

高田社長がショックを受けたのは「下請けの低収益から脱出したければ、販売という難行苦行に耐えなければならない」という部分だという。

金太郎は、大木製作所(仮名)の大木太一(仮名)社長が全く同じことを言っていたことを思い出した(第3回参照)。

「いまさらながら、仕事が来るのを待っているだけで、積極的に営業をしてこなかったということに気付いてね、何をしてきたんだろうと」これでは低収益なのもしかたがないと感じて、社長は青くなったという。

4分の3の中小企業が同じように営業で悩んでいる

「社長と同じように、多くの中小企業の社長が営業で悩んでいます」金太郎は慰めるように言いながら『中小企業白書 2012』の155ページを開き、「第3-2-1図 2012年に経営基盤の強化に向けて注力する分野(複数回答)」というグラフを示した。

「『営業力・販売力の強化』が第1位で、74.4%の経営者が課題に挙げています。第2位の『人材の確保・育成』も、多くの社長がおっしゃることですが、それでも36.2%で1位の半分以下です。中小企業の経営者が、どれほど営業・販売で課題を抱えているかが分かります。まるで悲鳴と言ってもいいように思います。」

「4社のうちの3社が営業で悩んでいるんだね」と言いつつ、社長はなぜか少し安心した様子。

「ところが、次のページを見てください」金太郎は156ページの「第3-2-2図 今までに効果があった中小企業支援施策」というグラフを示した。

「『当面の資金繰りに関する支援』と『雇用維持に関する支援』の2つが20%を超えているだけで、あとは少ないですね。」といずみが感想を述べる。

「『販路開拓に関する支援』と答えている経営者はわずか2.5%なんだね」と社長がため息をついた。

「単数回答なので全般に数値が低くなるのはしかたがないですね。ただ、『その他』を除くと全部で17項目あって、『販路開拓に関する支援』はその中の10位ということを考えると、あまり有効な対策がないと言ってもいいように思います」と金太郎。

長期的取り組みと短期的取り組みがある

金太郎は、大木製作所(仮名)の事例をイメージしながら話し始めた(第3回参照)。

短期的には、仮説検証を早いサイクルで回して、ユーザーから得た情報に基づいて顧客に提案していくことが考えられる。これは、すでに課題を感じていて新しい商品を今すぐに購入したい顧客を探しながらの取り組みになる。

一方で、課題を感じていてもすぐに新しい商品を購入する必要がない顧客もいる。そのような顧客には、必要になったときに最初に思い出してもらうようにすることを目的に、情報提供から始めて徐々に信頼関係を築いていく。こちらは長期的な取り組みになる。
この両面で営業活動をしていこうというのが、金太郎が大木製作所に行った提案だった。

「長期的な方はうちでもやっていけると思うんだ。でも短期的な取り組みはちょっとハードルが高いなあ」と社長が言う。人員が圧倒的に足りない、というのがその理由だ。今の人員は印刷にかかりきりで、営業に時間を割くことができない。

「兼任でも営業に時間を割ける人を雇えればいいけど、それには売り上げが足りない。でも営業をしないと売り上げが増えない。なので、いつまでたっても営業に時間を割けるようにならない。この悪循環を何とかできないものかねえ」社長はまたため息をついた。

BPOという方法もある

金太郎は、いずみの答えを促した。「そういうときにはどうしたらいいでしょうね。」

「はい、営業のアウトソーシングという方法があります。最近、盛んになっているBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のひとつです。」

「えっ、そんなことができるの?」と驚く社長。

「はい。一倉先生がコンサルされていた頃はあまり一般的ではありませんでしたが、今は営業をアウトソーシングする会社も多いようです」と金太郎。

「でも、それだと『販売という難行苦行に耐える』ことにならないんじゃ?」

「営業を“丸投げ”してしまえばそうなるでしょうね。しかし“丸投げ”とアウトソーシングは違います。サービスレベルや費用対効果などを発注元がコントロールしながら外部のリソースを利用するというのがアウトソーシングの本質なので、『難行苦行』の部分はあるんです。」

「アウトソーシングにはやり方があるということだね。」

「おっしゃるとおりです。」

営業アウトソーシングのセオリーとは

「まず、知っていただきたいのは、営業にはプロセスがあるということです」と言いながら、金太郎はホワイトボードに簡単な図を描いた

図:営業プロセス

「用語は人によって違いますが、流れは同じです。最初は顧客の“ファインディング”、見込み客として実際に会える相手を見つける活動です。」

「飛び込みとか、テレアポとか?」

「そうですね。そのほかには、展示会などで名刺を集めるという方法もあります。無料セミナーや無料説明会で人を集めるというのもよくある方法です。インターネットで問い合わせを受け付けることも考えられます。既存の顧客に新商品のパンフレットを持ってあいさつ回りをするのもファインディングですね。」

「見込み客に会えれば、次は課題を聴く段階、つまり“リサーチ”になります。この段階で売り込みをする営業が多いですが、まずは聴くことに集中するのがトップセールスのセオリーです。」

金太郎はホワイトボードの図を示しながら説明を続ける。「課題が明確になれば、次は“商品説明”になります。パンフレットを使った説明が一般的ですが、それだけではありません。ソフトウェアなどではデモを見せるのも商品説明です。提案依頼に基づいて提案書を作成し、顧客にプレゼンテーションするのも商品説明ですね。提案書のようなものがなくても、何らかの提案がないと今の見込み客はなかなか振り向いてくれないかもしれません。」

「そうだよね」社長は真剣に聞いている。

「はい。商品説明が終われば“クロージング”の段階になります。見込み客の不安、つまり買わない理由をひとつひとつ消していって、最終的に購入の決断を迫ることです。契約が成立すればクロージングは終了です。その後は“納品”、さらに代金を回収して営業案件は完了です。」

「そううまくいくといいがね。」

「“アフターフォロー”は、基本的にはコールセンターなどに任せますが、継続的な関係をめざすのであれば、営業担当者も定期的に顧客を訪問すべきでしょうね。」

どの営業プロセスをアウトソーシングする?

ここまで説明した後、金太郎は社長に質問した。「今のプロセスの中で、いちばん営業スキルが必要なのはどこだと思いますか?」

「そうだなあ、その図で言えば、リサーチからアフターフォローまでは自分でもやっていたところだね。ファインディングは自分ではさっぱり分からない。やっぱりファインディングがいちばん営業スキルが必要じゃないの?」

「そうなんです。ほとんどの業種で、ファインディングが営業としてのスキルが最も必要で、最も時間がかる部分なんです。」

「見込み客が見つかりさえすれば、自分で会って話をするのはそんなに難しくないよね。それに、リサーチ以降を営業担当者に任せるためには経験や教育が必要になる。印刷業務に精通していないと説明できないことが多いからね。」

「はい。ということは、アウトソーシングするとすれば…」

金太郎の話を社長がすぐに引き取る。「ファインディングだね。要するにアポ取りをお願いするということかな?」

「そうなんです。インターネットで“営業 アウトソーシング”というキーワードで検索して出てくるのは、ほとんどがアポ取りのサービスです。」

「なるほど。」

アポ取りをアウトソーシングするには

「アポ取りをアウトソーシングする際にも、いろいろと難しいことがありそうですね」といずみ。

金太郎はうなずいて説明する。「アポ取りには電話、インターネット、DM、飛び込み訪問などいろいろな種類がありますが、共通するのはそれぞれツールが必要だということです。パンフレットはもちろん、会社案内、お客さまの声、それからトークスクリプトですね。」

「何だい?そのトークスクリプトというのは。」

「シナリオとも言います。提供したい商品やサービスに相手が興味を示すかどうかを知るための“台本”のようなものです。全く関係のない人を相手に時間をかけても意味がありませんからね。トークスクリプトのよしあしで、相手の反応が全く違ってくるんです。」

「ということは、ファインディングの部分をアウトソーシングするにあたっては、パンフレット、会社案内、お客さまの声などのツールのほか、トークスクリプトの作成が必要だということだね?」

「そうです。さすがです!」金太郎の決めぜりふだ。

「ツール類は前もって用意しておくとして、トークスクリプトはアウトソーシング先と一緒に作るのが一般的です。アウトソーシング先もそのノウハウは持っているはずです。ですから、こちらの言いなりに作るような業者は避けるべきですね。ツール類についても改善提案をしてくれる業者のほうがいいんです。」

「ほかに業者選定のポイントはあるの?」

「サービスレベルが明文化されているかどうかも重要ですね。やりっぱなしで、成果が出なくても請求書だけは送ってくるというような業者もいるでしょうから。作業内容とサービスレベルを明確にメニュー化している業者がいいと思います。また、こちらの依頼に沿った提案書をきちんと作ってくれるかどうかも重要です。」

「実を言うと、単なる印刷屋からは脱皮しようと思って、版下のデザインから印刷までのワンストップのサービスを始めようと思っているんだ。しかし、どうやってそのサービスを売っていいか分からなくて悩んでいたんだけど、光が見えてきた気がするよ」社長の顔も明るくなったようだ。

「では、そのサービスの企画を練りながら、同時に営業アウトソーシングの提案依頼書を作っていきましょう」社長が元気を取り戻したようなので、金太郎もワクワクした気持ちになってきた。

「うん、もちろんそのつもりだよ」社長は力強く答えるのだった。

まとめ

・営業担当者を雇う余裕がなければ、営業をアウトソーシングする方法もある

・高い営業スキルが必要だが専門知識はそれほど必要でないファインディングのプロセスは、アウトソーシングするのに向いている

・ファインディングをアウトソーシングする場合は、商品パンフレット、会社案内、お客さまの声などのツールを準備し、トークスクリプトはアウトソーシング先と一緒に作るほうがよい

・アウトソーシング先の選定ポイントは以下のとおり

  •   トークスクリプト作成のノウハウがある
  •   ツール類の改善提案をしてくれる
  •   サービスレベルに関してきめ細かい調整ができる
  •   提案依頼に対して適切な提案書を作成できる

いずみの目

最近、営業アウトソーシングにも詳しくなった、いずみです。今は多くの業者さんがサービスを提供しているようで、それだけニーズがあるということですよね。インターネットの検索キーワードでも「営業代行」「営業アウトソーシング」という言葉はかなり上位に来ていますよ。
ファインディングに関しては、電話や飛び込みだけでなく、DMも有効な手段なんです。DMを送るのに便利なサービスがありますので紹介しておきますね(^^)

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[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

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