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第21回 東日本大震災に負けない会社に学ぶ(1)~企業再建~

東日本大震災という未曽有の災害にも負けずに、再興している企業はいくつもあります。中には、いったんは廃業を決意した会社もあります。再興を遂げた企業のプロフィールはさまざまですが、そこには共通した成功要因があります。今回から3回にわたって、その成功要因について考えていきます。

* 本文中の登場人物・企業名はすべて架空のものです。ただし、事例はすべて『中小企業白書 2012』に掲載されたもので、団体名・企業名・地域名などは実在のものです。



今、東日本大震災を振り返る意義

「皆さん、こんにちは。経営コンサルタントの亀田金太郎です。」

東日本大震災の発生から2年経った2013年3月のある日。東京都K区の研修施設で、金太郎は50名近い参加者の前で挨拶した。

亀田経営コンサルティング事務所は、「東日本大震災に負けない中小企業に学ぶ」と題して、中小企業向けの経営セミナーを開催した。
東日本大震災の発生から2年が経ち、被害に遭いながらも再生を果たした企業の事例が増え、それらに共通する成功要因も見えてきた。それについて考えることは、中小企業の経営者にとって大きな意義があるはずだ、というのが今回のセミナーの企画意図である。

講師が金太郎ということもあり、金太郎のクライアントの顔も見られる。地元の高田印刷所の高田純一社長(第1回第20回参照)のほか、A区からは大木製作所の大木太一社長・寛太専務親子(第3回第7回第9回第10回第15回第19回参照)、雑貨仕入販売会社セシボンの椎名めぐみ社長(第4回第16回参照)は、わざわざ千葉市から足を延ばしてやって来た。卸売会社の花村喜多男社長(第2回第8回第18回参照)は栃木県からの参加である。

今回のセミナータイトルは「東日本大震災に負けない中小企業に学ぶ」であるため、日程もあえて3月とした。

金太郎は、挨拶のあと、おもむろにこう切り出した。

「東日本大震災という未曽有の災害に負けずに再興している企業はいくつもあります。中には、いったんは廃業を決意した会社もあります。再興を遂げた会社のプロフィールはさまざまですが、そこには共通した成功要因があります。それはわれわれにとって大いに参考になるものです。」

未曽有の災害だった東日本大震災

金太郎の助手であるITコンサルタント、美咲いずみがPCを操作し、プロジェクターで正面スクリーンにスライドを映し出した。「東日本大震災 災害規模(人的被害)」というタイトルで、被害状況をまとめたものだ。

スライドを見た参加者が一斉にため息を漏らす。

金太郎の合図で、全員が黙祷した。

いずみがスライドを進める。「東日本大震災 災害規模(経済的被害)」というスライドに変わった。

「被害額の総計は17兆円弱という内閣府の推計が出ています。これは地震発生から3か月後の推計です。そのうち6割が建物の被害です。阪神淡路大震災の推計では約9兆6千億円なので、東日本大震災は約1.8倍の被害規模です。」

「次に、この2年間の、震災の影響による累積の倒産件数を見ていきましょう。東京商工リサーチの調査では1,099件となっています。ちなみに阪神淡路大震災の影響による倒産は257件ですから、はるかに多い件数です。」

「特徴的なのは、設備を失うなどの直接的な理由で倒産した会社が80件なのに対して、残りの1,019件は取引先が被災したなどの間接的な理由によるものだということです。その数約12.7倍です。連鎖倒産というケースもあるでしょうが、多くは部品や原料の供給が止まったことが原因ではないかと思われます。」

「ということは、被災地と離れていても倒産する恐れがあるということですね?」大木製作所の大木寛太専務が手を挙げ発言した。

「そのとおりです。災害の直接の影響に対する備えだけでは足りないということです。特定の仕入先に依存していないか、何かあったときに代替のルートを確保できるかまでを考えて、初めてリスク管理ができていると言えます。」

参加者が互いに顔を見合わせる様子を見ると、普段からそこまで考えている会社は少ないということだろう。

「東日本大震災に負けない中小企業の取り組み」の4つのカテゴリーと12の項目

「これらの数字を見ても、人的被害も経済的被害も未曽有の大きさだったことが分かります。」

参加者が一斉にうなずく。

「残念ながら、千件を超える倒産がありました。しかし、被災地で直接的な被害に遭いながらも、負けずに頑張っている企業はたくさんあります。皆さんもテレビなどでご覧になったことがあるでしょう。私がよく参照する『中小企業白書』の2012年版にも13件の事例が載っています。」

金太郎のクライアントと思われる参加者から安堵の声が聞こえ、金太郎も少し緊張を緩めた。やや暗い雰囲気になっていた会場が少し明るくなったようだ。

いずみがスライドを進める。「東日本大震災に負けない中小企業の取り組み(『中小企業白書 2012』より)というタイトルの一覧表が表示された
(図1)

図1

図1 東日本大震災に負けない中小企業の取り組み

「被災3県と言われる岩手県・宮城県・福島県の事例ばかりです。業種は多岐にわたっています。事例ナンバーは『中小企業白書 2012』のもので、被害状況や取り組みの内容はお配りした資料にまとめてあります。あとで『中小企業白書 2012』も併せてご覧になってください。」

「一覧表の右のほうに、支援、製品力、販売努力、使命感という4つの欄がありますが、これは何でしょうか」と参加者の一人が質問した。

「資料を見ていただきたいんですが、資料で『取組分類』という欄を作りました。取り組みの特徴を12の小項目に分けて、それを支援、製品力、販売努力、使命感という4つのカテゴリーでくくっています。」

金太郎は、演壇に置かれた水をひと口飲んでから続けた。

「では、スライドを見てください。○がついているのは、事例の中で取り上げられているという意味です。例えば、事例2-1-1の株式会社ピーアンドエムの事例で『使命感』の欄に○がついていませんが、ピーアンドエム社に使命感がないという意味ではなく、ほかの要素が強調されているためです」と金太郎が補足する。

再建のための4つの成功要因

「13の事例を何度も読んでいて、共通点がたくさんあるなというのが私の第一印象でした。その共通点をはっきりさせようと、各事例からキーワードを抜粋していきました」と金太郎。

金太郎は2つ以上の事例に共通して出てくるキーワードを12個発見した。その12個を、親和性の高いものどうしで組み合わせ、4つのカテゴリーに分類した。

復旧・再建のための4つの成功要因

「これが、私が抜粋した再建のための4つの成功要因です。支援、製品力、販売努力、使命感という言葉だけを聞くと、ありきたりのストーリーしか思い浮かばないかもしれませんね。」

「ありきたりのストーリーって、どういうものですか?」セシボンの椎名社長が質問した。

「例えば、『自社製品で世界を幸せにしたいという理念と、それを実現できるだけの製品力のある会社が、自治体から補助金をもらいつつ、販路も開拓して再建した』というようなストーリーです。そうすると、自社ではとても同じことはできないとあきらめてしまいませんか?」

「そうね、私もそんなイメージを持ったわ」と椎名社長。

「実際にはもっと現場的で“泥臭い”というか、誰にでもできるようなことを実直にしているケースが大半なんです。それをキーワードでまとめると、どうしてもきれいな言葉になってしまいますね。」

金太郎は「ここで10分間の休憩を挟みます。休憩後は事例からの引用も交えて、4つの成功要因と12の項目を具体的に解説していきます」と前置きし、10分間の休憩を取ることになった。

(次回に続く)

まとめ

・東日本大震災は人的にも経済的にも未曾有の災害だったが、被害に遭っても再建を果たした企業の事例が多数ある

・それらの事例に共通する成功要因は細かくは12個あるが、まとめると支援、製品力、販売努力、使命感の4つとなる

・4つのキーワードだけを見ると「きれいごと」あるいは「自社では難しい」と考えがちだが、大半の事例は誰にでもできることの積み重ねとなっている

いずみの目

「災害の直接の影響に対する備えだけでは足りないということです。特定の仕入先に依存していないか、何かあったときに代替のルートを確保できるかまでを考えて、初めてリスク管理ができていると言えます」という、金太郎先生の言葉が印象的でした。BCP(事業継続計画)では、このあたりもしっかり考える必要がありますね。
また、ITコンサルタントの私の立場から言わせていただくと、中小企業ではIT関連のBCPに関する検討が不足しているケースが多いようです。ITに関しては専門家の意見を聞くことも重要です
すぐに行動したいと考える会社には、リソースのオンデマンドサービスがお勧めです。

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[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

*この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
日立システムズの公式見解を示すものではありません。

* 資料の、無断引用・転載・改ざん・配布および、そのままでの教材としての利用は、すべて禁止します。

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