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第24回 地方銀行等の中小企業支援(1)~経営相談~

中小企業の主な資金調達先は、地方銀行、第二地方銀行(旧相互銀行)、信用金庫、信用組合などです。これらの金融機関は、資金の貸し出し以外にも、中小企業を支援するためのさまざまな取り組みをしています。今回から2回にわたって、その取り組みを紹介していきます。

* 本文中の登場人物・企業名はすべて架空のものです。ただし、事例はすべて『中小企業白書 2012』に掲載されたもので、団体名・企業名・地域名などは実在のものです。



大胆な相談

「あの、少々言いにくい相談なんですが…。」

経営コンサルタントの亀田金太郎は、年に数回、東京都K区の法人会からの依頼で、中小企業経営者向けの無料相談を行っている。区民会館の一室で、助手のITコンサルタント美咲いずみと相談者が来るのを待っていると、40歳前後と思われる、背広に銀縁眼鏡の男が二人の前にやって来てこう切り出した。

「どうぞ、お掛けになってください」金太郎が椅子を指し示すと、相手は「その前に」と名刺を差し出した。「株式会社桜庭商会 代表 桜庭 誠」(仮名)とある。簡単な業務内容も書いてあり、地方の民芸品を扱う雑貨店を経営しているようだ。

「で、どういうご相談でしょうか?」金太郎が水を向けると、なおも言いにくそうにしていた桜庭は意を決したようにこう言った。「実は、できるだけ低コストで定期的に経営相談をしてもらうにはどうしたらいいか、教えて欲しいんです。」

うちの税理士ではちょっと…

桜庭が続ける。

「いや、もちろん分かっているんです。先生方は経営相談で収入を得ていらっしゃる。ですからこんな相談は、お医者さんに『どこへ行けば安く診察してもらえますか』と聞くようなものだって。」

金太郎は、桜庭の生真面目な様子に吹き出しそうになるのをこらえながら答える。

「今回のような無料相談では、だめなんでしょうか?」

「いや、もうちょっと頻繁にというか…。」

「ちなみに顧問税理士はいらっしゃるんですか?」

「それはもちろん。」

「税理士の先生は相談に乗ってくれないんですか?」

「それが、販路開拓や事業計画についてとなると、うちの税理士ではちょっと…。」

税理士や会計士の中には営業や経営に詳しい人もいるが、桜庭商会の顧問税理士はそういうタイプではないらしい。

経営相談をするほうが業績はよくなる?

「そうですか、それで経営相談をしたいというわけですね。それはいい考えだと思いますよ。実際に、外部の人間に経営相談をしたほうが業績がよくなるというデータも出ています。」金太郎は『中小企業白書 2012』の159ページを開きながら、「第3-2-6図 経営相談有無別の直近5年間の利益の傾向」を示した。

確かに、経営相談をしている会社では、増益傾向の会社が13.3%、横ばいが33.5%であるのに対して、経営相談をしていない会社では、それぞれ7.6%と28.1%となっている。この5年間の景気動向を考えると、横ばい以上であれば成績はいいと言えるかもしれない。

「でも、経営相談をしている会社でも、53.2%は減益傾向だということですよね。」いずみが金太郎に言う。

「確かにそうだね。経営相談をしていれば、それだけで増益が見込めるとは言えない。しかし、減益傾向の割合が経営相談をしていない会社に比べて低いのも事実だね。増益傾向のほうが多いんだから当たり前だけど。」と金太郎。

「ひと口に経営相談と言っても、誰に相談するかが問題です。」金太郎が桜庭に向き直ってきっぱりと言う。

金太郎は白書157ページの「第3-2-3図 中小企業経営者の経営相談の状況」を示した。これによると、相談相手として顧問税理士と会計士が68.1%と最も多く、経営陣や家族・親族などの内部関係者がそれに次いでいる。経営コンサルタントに相談する人は11.0%と少ない。

「まあ、この2つのデータだけで結論を出すのは早計です。利益を上げるために有効なコストカットについては、税理士がよい知恵を出してくれることも多いでしょう。しかし、売上の拡大についてとなると…。」

「うちの場合、まさにそうなんです。この費用についてはもっと減らせるはずだとか、在庫回転率を上げると経営が楽になるというような、財務的なアドバイスはしてくれます。しかし、それを実現するための具体的な方法は示してくれません。」と桜庭が嘆く。

「それはもともと税理士の業務ではありませんからね。そういうことができる税理士もいますが、顧問料が高くなります。経営コンサルタントの仕事もしてくれる税理士は付加価値の高い税理士なんですよ。」と金太郎がなだめる。

地方銀行に相談するのもいい方法

「ところで、メインバンクはおありですか?」金太郎が桜庭に尋ねる。

桜庭は、ある地方銀行の名前を挙げた。

「そちらでは、どういうことを支援してもらっているんですか?」

「いや、銀行ですから、売上金の入金とか給与振込とか、自動引き落としとか、あとはお金を借りたりとかですよ。ほかにあるんでしょうか?」

「実は、銀行は経営コンサルティングの業務も行っているんですよ。特に地方銀行はかなり力を入れています。」

金太郎は『中小企業白書 2012』165ページの「第3-2-7図 地域金融機関の中小企業への経営支援の具体的取組状況」を示した。そこには、以下の8項目の経営支援内容が挙げられている。上にある項目ほど、取り組んでいる金融機関が多くなっている。


・事業戦略・経営戦略計画策定支援

・財務診断等計数管理アドバイス

・不動産売買情報の提供

・ビジネスマッチング等販路開拓支援

・M&A等事業承継支援

・人材教育支援

・海外展開支援

・研究開発のための専門機関紹介


「いや、知りませんでした。こんなことを銀行がやってくれているんですね。ちなみに、無料なんですか?」桜庭が上目使いに金太郎を見た。

「それは銀行によっても、内容によっても違うでしょう。手数料という形でいくばくかの料金がかかるケースも多いですね。例えば、この事例です。」

金太郎が示したのは『中小企業白書 2012』166ページの「事例3-2-1 ビジネスマッチングにより取引先の販路開拓を支援する金融機関」だ。島根県松江市の山陰合同銀行では、中小企業どうしのビジネスマッチングに積極的に取り組んでいる。マッチングの実現によって得られた売上に対して、成功報酬として手数料を受け取るが、それは取り組みに対する行員の意識を高めるためだという。

「銀行側としては、地域振興を図ることによって取引額を増やすのが最大の狙いなので、このように成功報酬という形で、しかもできるだけ低額で対応するのが得策だと思うんですが、『支援を受けるために費用がかかる、費用が高額すぎる』という不満も1割ちょっとの会社が挙げているので、中には私とは考えの違う銀行もあるようです。」金太郎は白書170ページの「第3-2-12図 中小企業が考える金融機関の経営支援推進上の課題(複数回答)」を示しながら言う。

どういう銀行と取引すべきか?

「ちなみに、どの銀行がどんな支援をしているかは分かるんでしょうか?」と桜庭が聞く。

「銀行のホームページの法人向けページに、だいたいのサービスは書いてあるようです。詳しくは窓口で聞けばいいでしょうが、あるのかないのかを先に調べたほうがいいと思います。」先ほどからノートPCを見ていたいずみが答える。

「桜庭さんのメインバンクでも、ビジネスマッチングのためのイベントをよく開催しているようですよ。」いずみは桜庭に画面を向けた。

「本当だ。でも案内が来たことは…。そうか、もしかしたら銀行から来るDMに入っていたのかもしれませんね。たいていはあまり関係のないセールスのDMだから、よく見ないんですよ。」

「そういう不満をお持ちの経営者も多いようです。」金太郎は先ほどの「第3-2-12図」を示す。

中小企業経営者の不満として、担当者等の頻繁な交代(43.3%)、金融機関の都合を優先した経営支援セールス(35.9%)、担当者の企業や業界に対する理解が不十分(35.7%)、貸出セールスありきの営業姿勢(21.9%)など12項目(「その他」を除く)が挙げられていた。

「うんうん、銀行ってそうなんだよなあ。みんな同じ不満を持っているんだなあ。」という桜庭の独り言を引き取って金太郎が続ける。

「銀行側も、そのような不満があることは理解しているようですね。」金太郎は白書169ページの「第3-2-11図 金融機関が考える経営支援推進上の課題(複数回答)」を示した。

担当者の育成、特に事業内容や業界への理解不足を課題と認識していることが示されている。担当先が多すぎて個別のニーズを把握しきれないことも課題として挙げられているので、銀行にも事情はあるようだ。

「ですので、メインバンクを選択する際には、どれだけの支援メニューを持っていて、それにかかる費用はどれぐらいで、さらに先ほど見た中小企業の不満にどれだけ対応しているかを比較して選ぶのがいいと思います。」と金太郎が提案する。

「なるほど。その観点でメインバンクを見直してみます。複数あってもいいわけですしね。」

「そうですね。一行で対応しきれなくても、複数あればカバー範囲が広がりますので、その考え方はいいと思います。」

「はい。あの、実はもう1つ、相談があるんですが…。」と桜庭。

金太郎はにっこりとうなずいた。

まとめ

・外部の適切な相談相手に経営相談をすると、業績が向上する可能性がある

・低コストの経営相談先として、銀行などの金融機関が候補になる

・事業戦略・経営戦略計画策定支援、販路開拓支援、人材教育支援などに取り組んでいる地方銀行もある

・メインバンクは、支援メニューの内容と費用、経営者が銀行に持っている不満への対応状況を比較して選ぶのがよい

いずみの目

銀行はお金を貸してくれるだけだと思っていたので、さまざまな経営支援にも取り組んでいることを知って、少し驚いた美咲いずみです。
ところで、銀行に支援を依頼する際には、きちんと会計管理をしていることが必要ではないでしょうか?
そこで今回は、基幹的な会計業務をサポートしてくれるパッケージソフトを紹介します。

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[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

*この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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