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第25回 地方銀行等の中小企業支援(2)~経営相談、海外進出~

中小企業の主な資金調達先は、地方銀行、第二地方銀行(旧相互銀行)、信用金庫、信用組合などです。これらの金融機関は、資金の貸し出し以外にも、中小企業を支援するためのさまざまな取り組みをしています。前回に続いてその取り組みを紹介します。

* 本文中の登場人物・企業名はすべて架空のものです。ただし、事例はすべて『中小企業白書 2012』に掲載されたもので、団体名・企業名・地域名などは実在のものです。



円安を機会に

東京都K区の区民会館で、経営コンサルタントの亀田金太郎と、その助手のITコンサルタント美咲いずみは、地方の民芸品を扱う雑貨店を経営する株式会社桜庭商会(仮名)の代表、桜庭誠(仮名)の相談を受けていた。

桜庭の相談は「低コストで経営相談する方法を教えてほしい。」というもので、金太郎は、地方銀行などの地域金融機関に相談することを提案した。

桜庭は、もう1つ相談があるという。

「相談というか、教えていただきたいんです。先ほど見せてもらった『中小企業白書 2012』の165ページの図(「第3-2-7図 地域金融機関の中小企業への経営支援の具体的取組状況」)に『海外展開支援』という項目がありましたよね。それは、どういう支援をしてくれるんでしょうか。」

桜庭が扱っている地方の民芸品は外国人観光客に評判がよく、4割ぐらいはその人たちが買っていくという。政権が変わってから円安が進んでおり、観光客が増えて売上も増えると思われる。しかしそれだけでなく、この機会に海外にも事業を展開したいのだと桜庭は言うのである。

「冒険心はいいと思うんですが、勝算はあるんでしょうか?」金太郎が心配になって尋ねた。

「そういったことも含めて相談したいんです。」と桜庭。

地方銀行等の海外進出支援

「分かりました。では、この図から見ていきましょう。」

金太郎は『中小企業白書 2012』174ページの「第3-2-18図 地域金融機関の海外展開支援の具体的取組内容(複数回答)」を示した。

それによると、以下の10項目が、地方銀行等の海外展開支援の内容となるようだ。なお、上にある項目ほど、取り組んでいる金融機関が多くなっている。


・資金調達支援

・現地市場や投資規制等の情報提供

・現地事業支援

・国内の支援機関の紹介

・現地の専門家の紹介

・実務アドバイス

・提携先の紹介

・進出戦略策定支援

・リスク管理のアドバイス

・現地での財務管理のアドバイス


「どれも専門性の高そうなサービスですね。地方銀行だけで可能なんでしょうか?」と桜庭が首をひねる。

金太郎が、同じページの「事例3-2-2 中小企業の海外展開を支援する金融機関」を示しながら答える。「桜庭さんの疑問はもっともです。ここに書かれている浜松信用金庫の事例を見ると、同金庫がコーディネーターとなって、多くの関係者を巻き込みながらトータルなサポートをしています。」

静岡県浜松市の浜松信用金庫は、2010年3月に海外ビジネスサポートデスクを開設した。このデスクは、日本貿易振興機構、静岡県国際経済振興会、浜松商工会議所、信金中央金庫、提携先の大手金融機関の海外拠点と連携してサービスを提供している。サービス内容は、進出予定先の経済状況、投資環境などの情報提供、現地の会計士、コンサルタントの紹介などである。
海外展開の構想段階では、進出判断・与信判断を兼ねた進出事業計画書の作成を支援し、拠点設立段階になると、担当者が同伴して現地の視察もする。さらに販路開拓の支援までしているという。

「至れり尽くせりですね。ただし、関係者も多いので、無料というわけにはいかないでしょうね。」と金太郎が釘を刺した。

「それでも問い合わせてみる価値はありそうですね。特に事業計画書の作成を支援してくれるのが大きいです。」と桜庭は乗り気だ。

自ら海外進出している地方銀行もある

「今のは信用金庫の事例ですが、地方銀行の規模になると、現地法人や現地駐在所を置く形で支援しているところが多いようです。」

金太郎は『中小企業白書 2012』176ページの「第3-2-20図 地域金融機関の海外展開支援推進のための自行庫内の取組(複数回答)」を示した。

それを見ると、地方銀行では、海外拠点の設置が65.3%、ほかの金融機関などへのトレーニーの派遣が61.4%、外国金融機関との提携が56.1%、海外展開支援の専門家との提携が41.8%という高い割合で取り組まれている。この数字は、第二地方銀行や信用金庫を大きく引き離している。

「そうすると、海外進出についても地方銀行に相談するほうがいいのでしょうか?」と桜庭が尋ねた。

「それは一概には言えないですね。メインバンクの選定と同じように、判断基準を持って比較検討することです。」と金太郎。

具体的には、上記「第3-2-18図」の11項目のどれをサポートしているか、それぞれ費用はいくらかかるのか、また、「第3-2-20図」の項目(海外拠点設置・トレーニーの派遣・外国金融機関との提携・海外展開支援専門家との連携・海外展開支援人材の中途採用)にどの程度取り組んでいるかなどが判断材料になるだろう。

「大変参考になりました。本当にありがとうございました。」桜庭は深々と頭を下げ、来たときよりずっと元気になって帰って行った。

金太郎の熱い思い

無料相談会が終了し、金太郎といずみは、区民会館の近くにある居酒屋で打ち上げをしていた。

生ビールで乾杯すると、金太郎は「今日はちょっと元気がなかったようだね? 何かあったのかい?」と切り出した。

いずみが答えて言う。「先生に相談したいことがあります。ただ、先に質問させてください。先生って、無料相談でもいつもと同じように親身になって相談に乗ってあげますよね?」

金太郎はいずみに『中小企業白書 2012』157ページの「第3-2-4図 従業員規模別の定期的な経営相談実施企業の割合」を見せた。

「桜庭さんの店の規模だと、定期的に経営相談をしている企業の割合は15.6%だね。これが、従業員10人を超えると46.5%、3倍にもなるんだよ。だからね、僕は小さな会社が大きくなる手助けを無償でしてもいいと思っているんだ。そのうち大きくなったらクライアントになってくれるかもしれないしね。」

「でも、桜庭さんがクライアントになってくれるとは限りませんよね。」

「もちろんそうだけど、もし規模が大きくなって経営コンサルタントを雇えるようになったときに、誰のことを最初に思い出すだろうか。僕は、僕のことを最初に思い出してくれればそれでいいと思うんだ。」と金太郎は言う。

いずみは、さらに聞く。「でも、有償で先生に依頼しているクライアントの方々は、不公平感を持たれないでしょうか?」

金太郎は答える。「多くのクライアントが、元々は無料相談からなので理解してくれていると思う。それに、クライアントは問題解決にお金を払っているわけではないんだ。彼らには、それよりももっと重要なことがあるんだ。何だと思う?」

いずみには金太郎の答えが予測できなかったが、それは知識や経験以外のものだろうという見当はついた。

「中小企業の経営者は孤独なんだよ。仲間がいないという意味ではなくて、最後の最後の責任を伴った決断は独りでしなければならない。その決断次第で、会社が倒産することだってある。そこまで行かなくても、誰かに退職してもらわなければいけないときだってある。そういうつらい決断を独りでしなければならないのが経営者なんだ。」

“生きている限り、そばにいてサポートします”、そういう人の存在が欠かせないのだと金太郎は言う。

「経営コンサルティングの結果はすぐに出ないことが多い。経営というのは、地道な取り組みをあきらめずに続けていくしかないんだよ。あきらめないための手助けに対して、クライアントの皆さんはお金を払ってくださるんだ。」

今の話は、金太郎が勤めていた会社を辞めて事務所を継ぐと決めたとき、父の尊大から聞いたのだという。
「そのときは、よく意味が分からなかったけど、最近は父が言ったことを実感するようになったんだ。」

「それを伺って、決心がつきました。私も同じことを実感したいんです。」

いずみの決心

いずみが悩んでいたのは、自分の持っているコンサルタント観と、金太郎の実際のコンサルティングに違いがあり、何が正しいのか良く分からなかったためだった。いずみは、コンサルタントとはクライアントの悩みにズバズバと回答するのが仕事だと思っていた。ところが金太郎のコンサルティングはどうもそれとは違う。クライアントが答えを出すのを粘り強く待つ。いずみの考えでは、それではクライアントに信頼されない。ところが、金太郎はクライアントに全幅の信頼を置かれている。

いずみはどうしてそうなるのかが日に日に分からなくなっていた。しかし、金太郎のようなコンサルタントになりたいという気持ちも日増しに強くなっていた。どうすれば金太郎のようになれるのか? それが、分からなくて悩んでいたのだった。だが、その答えが今は見つかったのだ。

「何だい、決心って?」

「私、独り立ちしたいんです。先生の助手のような立場ではなく、直接クライアントと向き合うことで1日も早く先生のようになりたいんです。」

何もそんなに慌てることはないと金太郎は説得したが、いずみは聞きいれなかった。彼女には一度決めたら押し通す意志の強さがあるのだ。

結局話し合いの末、亀田コンサルティング事務所は営業協力など、いずみが独立するための支援をすることになった。いずみは今後は基本的には一人でコンサルティングをする。ただ、金太郎が必要とする場合は、あくまで仕事として金太郎のコンサルティングのサポートをする。なお、亀田コンサルティング事務所からの仕事の紹介に対しては、一定のロイヤリティを払うことにした。金太郎は無償でいいと言ったのだが、そうでないと仕事を請けないといずみが主張したからである。

「まったく、美咲君は強情だ。」

「そこは、先生の影響です。」

二人は笑い合い、硬い握手を交わした。そして、二人の熱いコンサルティング談義が閉店まで続いたのだった。

まとめ

・地方銀行などの地域金融機関では、取引先の海外進出に関して、現地市場や投資規制などの情報提供、現地事業支援、国内の支援機関の紹介などさまざまな取り組みをしている

・地方銀行の規模になると、現地法人や駐在所を置く形で支援している機関の割合が高い

・海外進出の支援を求める相手を決めるときは、メインバンクを決めるときのように、サービス内容、費用、取り組み姿勢などを比較して検討する必要がある

いずみの目

金太郎先生の思いに触れて、少し感動した美咲いずみです。私には私なりのやり方もあると思いますが、それでも先生とクライアントの深い絆のようなものを感じることが多く、いつも羨ましく思っていました。そして、私もそうなりたいと思い、一人でやっていくことにしました。これからも応援をよろしくお願いいたします。
ところで、地域金融機関が海外進出支援をしているということですが、やはり専門家でなければ難しい支援もあります。例えばこのようなサービスがそうです。

国際ネットワークサービス

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

*この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
日立システムズの公式見解を示すものではありません。

* 資料の、無断引用・転載・改ざん・配布および、そのままでの教材としての利用は、すべて禁止します。

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