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第71回 「ニューノーマル」を見据えたBCPにおける課題と解決策(3)~DXで「真の事業継続」を!

コロナショックにより、BCP(事業継続計画)を見直す企業が増えています。過去にもリーマンショックや東日本大震災のあとにBCPを策定する企業が一気に増えたことがありましたが、今回のBCPは以前のケースとは大きな違いがあるようです。
いったいどういう違いがあるのか、何に留意して計画を見直せばいいのか…、3回にわたって解説しています。
今回は、事業継続のためにDXを推進するということについて考えます。



前回までの振り返り

YMC電子工業(以下YMC)は、埼玉県にある従業員約280人のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業だ。同社の顧問ITコンサルタントである美咲いずみは、毎週月曜日のシステム部の部内会議に同席し、そのあと山田昭CIOとのコンサルティング・セッションの時間を持っている。

新型コロナウイルス感染症の流行で、YMCのシステム部もテレワーク環境の整備などで大忙しだった。システム関連については一旦落ち着きを取り戻した今、山田はBCP見直しに着手したいと、いずみに相談を持ちかけた。それも情報システムだけではなく、会社の事業の継続までを見据えて考える必要があるのだと言う。いずみはその考えに理解を示しつつ、情報システムと事業の継続を分けて考えることを提案、まずは情報システムの稼働継続についてデータセンターおよびクラウドの活用法やメリット・デメリットについて考えを述べたのだった。

新型コロナ禍で変わってしまったこと

「では『事業継続のためのDX』にテーマを移しましょう。山田さん、『ニューノーマル』とおっしゃっていましたが、このたびの新型コロナ禍で変わってしまったことは何だと感じておられますか?」

「まず働き方が大きく変わってしまったね。私たちの会社でも、工場勤務者はどうしても工場に出勤しないといけない場面が多いが、我々情報システム部を含むバックオフィスの部門は、8割がたテレワークになった。週1回、交替で出社しているという感じだ。コロナ禍の前はそんなことは無理だと思っていたが、実際にやってみたら、最初はいろいろトラブルはあったけど、すぐに慣れてしまうものだなあと感慨深かったよ」

山田CIOが言うには、テレワークの初期はネットワークのトラブルや端末不足などシステム的なトラブルが多かったが、システムトラブルが収束すると今度はコミュニケーション不足や孤独感など人的な悩みが増えた。だが、それも今はかなり落ち着いたという。

山田CIOが続ける。「ニューノーマルという意味では、厚生労働省がいう『新しい生活様式』というのが考える上での参考になると思う。その中で、例えばマスクの着用、手洗い・消毒の励行、『三密』を避けるといったようなことは、ワクチンなどが普及すれば徐々になくなっていくのだろう。

ただ、人の移動が減る、人を集めにくくなる、リモートやオンラインでの行動が増えるといったあたりは、おそらくコロナ禍が収束しても元に戻らないのではないだろうか。これらを指して『ニューノーマル』と言っているのであり、ニューノーマルを前提にして事業を考える必要があると僕は考えている」

「私も同感です」といずみが微笑む。

ニューノーマルがこのような状況であれば、例えば印鑑1つを考えても、「押印のために出社するのはナンセンス」というのが新しい常識になるわけだ。したがって、デジタル署名などを押印の代わりにすることになる。これも立派なデジタル化であり、あらゆる行為がデジタル化していくのが、ニューノーマルだと言える。

デジタル化が進めばデジタルデータが蓄積され、それらを活用するDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されることになるのである。

待ったなしのトランスフォーメーション

「ところで、経済産業省が公開した『DXレポート』はご覧になりましたか?」といずみは山田CIOに尋ねた。

「うん。『2025年の崖』というキーワードの強いインパクトに引かれて読んだよ」

『DXレポート』とは、経済産業省が2018年9月に公開したレポートである。その中に、2025年までに日本企業がDXを実現できないと日本が陥るであろう困難な状況を「2025年の崖」と表現している(図)。

”複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりに伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある”(『DXレポート』より)というのだ。

出典:DX(デジタルトランスフォーメーション) レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

「日本中の企業がレガシーシステムを刷新してDXを実現しないと、日本全体でものすごい損失が発生するという意味だよね? 当然、YMCも対応しなければいけないと思ったのだが、ずるずると来てしまった。

ところが『DXレポート』が公開されて約1年半でコロナショックがやってきて、日本経済の損失どころか、自社の存続に変わってしまった。まさに待ったなしの状況でトランスフォーメーションを成し遂げなければと、ようやく尻に火がついたというわけだよ」と山田CIOは振り返る。

DXの具体的な手順

「『DXレポート』に上がっていた『対応策』に”『DX推進システムガイドライン』の策定”というのがあって、実際に2018年の12月に『DX推進ガイドライン ver 1.0』が公開された。まさかコロナショックを予測していたわけではあるまいが、よくぞ作成してくれていたと感激したよ。ただね…」

「これは正真正銘の「ガイドライン」であり、肝心の具体的な進め方がよく分からない」と、山田CIOは不満を漏らした。

「そうであれば、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2020年6月に公開した『DX実現に向けた取り組み』を参考にされるのが良いと思います」といずみは言う。

いずみによれば、同資料には「DXの実現に向けたドキュメントの活用ステップ」(図)と図解があり、それが参考になるという。なお、同図解に掲載されている「PF(プラットフォーム)変革手引書」(ただし「案」)と「PFデジタル化指標」も同資料と同じく2020年6月に公開されている。

「なるほど。こうして見ると省庁や外郭団体・支援団体などが発行している資料は大いに役に立つということだね。これらを元に『ニューノーマル時代のBCP』を策定してみるよ。もちろん、いろいろと協力してもらうよ。

「はい。もちろんです!」といずみは明るく答えた。

まとめ

  • 人の移動が減る、人を集めにくくなる、リモートやオンラインでの行動が増えるといったことは、おそらくコロナ禍が収束しても元に戻らないことであり、これらが『ニューノーマル』だと考えられる
  • 「2025年の崖」を持ち出すまでもなく、コロナショックで「DX実現、待ったなし」の状況となっている
  • DX推進のためには、IPAが2020年6月に公開した『DX実現に向けた取り組み』が参考になる

いずみの目

「リモートやオンラインでの行動が増える」のがニューノーマルだとすれば、テレワークはまさにニューノーマル時代の働き方のスタンダードだと言えます。テレワークにはさまざまな課題がありますが、その中でも大きなものはユーザーへのテクニカルサポートでしょう。これを情報システム部が一手に引き受けるのは相当な負担になります。専門会社に委託することをお勧めします。

[ITブレークスルー代表 森川 滋之 記]

* この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
  日立システムズの公式見解を示すものではありません。
* 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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